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國 酒  (1999.9.19掲載)

 世界には色々な酒がある。ビールやウイスキー、ワインと言ったところはお馴染みだが、まだまだ日本に紹介されていないものも多い。

もちろんその逆もあり、日本酒など知らない国々もあるだろうが、一部では「japanese sake」として親しまれている。最近ではアメリカやオーストラリアでの製造も盛んで、大手企業が技術を持って進出し、かなりの量産をこなしているようだ。

 アルコール文化と言う言葉が適切かどうかはわからないが、独自の伝統と文化を持つ世界の国や地方には、その土地の気候風土・産物・料理などにあった広い意味での地酒が数多く生まれ、愛飲され続けている。モンゴルの馬乳酒やメキシコのテキーラのように、その土地で培われた習慣や生活環境や土地柄がその地の味を醸し出していると思う。
 アルコール飲料の製造法は種類や原材料の違いもあるが、大別して三通りある。一つはアルコール度数の比較的高い蒸留酒、二つ目は複数酒を組み合わせた混成酒、もう一つは発酵液をそのまま飲用する醸造酒だが、ビールやワインと同じく日本酒は醸造酒に分類される。

各地各様、製造方法も様々あるだけに、色・香り・味も多種多様。飲み方も伝統や習慣を重んじる風潮が強いようだ。ワインがフランスの、ビールがドイツの國酒であるように、日本は日本酒が國酒であり、主食である米から醸される液体ならではの奥深さ、製造課程だけでなく食につながる色々な関係事は、また違った意味での文化だと思う。

酒を呑むのは簡単だが、酒を知りその奥深さを感じるとその美味しさも引き立つことと思う。以前、「日本酒は食前酒か?」と聞かれたことがある。たぶん晩酌の一こまを思い浮かべてのことだろうが、基本的には食中酒だと思う。

しかし日本酒は食前酒にも、食中酒にもナイトキャップにもなると思っている。人それぞれ場面や条件によって飲み方が違ってくるはずであるし、料理や肴によってもかなり味わいが変わってくる。故に「これがお酒の飲み方です!」などと言う決まり文句は無いと思っているし、その地・あの人・この料理によってそれぞれのスタイルがあると考えている。

 日本料理に代表される寿司・天麩羅・煮魚・漬物・等々、色々なものが世界に紹介されていて、和食の雅やかさは大変有名のようだが、日本酒の美味しさや効用、そして食事との取り合わせは各地各様の為か、なかなか浸透していないように思えてならない。
 日本酒。その製造法も飲み方も有史以前から培われてきた固有の財産であり、今なお各地各所に地酒として慣習として存在し続けている。

 過去、様々な習慣が取り込まれたように、これからは今まで以上に諸外国の文化が入って来るであろうし、日本の文化も海を渡っていくであろう。

 そんな時、日本には國酒「日本酒」があると胸を張りたい。
 


☆昔の酒造り

☆日本酒の効用

☆くらしのなかの酒

☆神事と酒

☆暮らしの中の日本酒

☆國酒