MAGMA Japan Tour 2009

傾向と対策

MAGMA 4度目の来日まで後1週間を切った。
今回のツアーは東京2回、大阪1回の計3公演にプラスして
Christian Vanderのソロコンサートが1回予定されている。

新型インフルエンザの影響が懸念されているが、
何とか全日程が無事に終了することを祈っている。

 

5/26 東京 岩本町 Tokyo TUC Christian Vander's Solo Show 
5/27,28 東京 渋谷O-East  MAGMA 40th Anniversary Tour in Japan
5/30 大阪 アメリカ村Big Cat MAGMA   40th Anniversary Tour in Japan

今回来日の予定メンバーは

Christian Vander : ドラムス、ヴォーカル
Stella Vander : ヴォーカル
Isabelle Feuillebois : ヴォーカル
Herve Aknin : ヴォーカル
James McGaw : ギター
Philippe Bussonnet : ベース
Bruno Ruder : ピアノ、キーボード
Benoit Alziary : ヴィブラフォン、キーボード

の8人。

音響担当のFrancis Linonも当然同行するが、
更にステージスタッフとしてStella、Francisの長男Marcus Linon、
加えてChristianの娘Julie Vanderもやって来るという。(彼女がステージに立つことは無いそうである。)

Solo Concert

まずは26日のソロコンサートの内容を推測してみたい。

基本的にはChristian Vander一人のピアノ弾き語りになる模様である。
このような形のソロコンサートは「To Love」(既にフランス本国ではリマスター盤が発売になっており、日本仕様盤も間もなく登場する。)
が発表された1988年の頃でさえ一回も行なわれていない。
そんな状況下で、この日本公演に先立ってフランス本国で5月14日に
Bordeauxに近い町Eysinesの教会でついに初のソロコンサートが開かれた。

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撮影:Jean-Louis Foucault

観客は200人前後、演奏はChristain一人のピアノ弾き語りでおよそ1時間45分。

気になるセットリストだが、実際にコンサートを見た友人からは以下の様に伝わってきている。

Ronde de Nuit
Uguma Ma Melimeh Gingeh
Joia
You Glory the One
Le Peruvien
Celui qui a Donne〜Longtemps la Nuit J'ai Attendu〜Le Temps Passe est Merveilleux
Les Cygnes et les Corbeaux(抜粋)〜Blues Alice Coltrane
Les Cordes(詩の朗読)
J'ai Plonge dans les Lacs
Felicite Thosz(抜粋)
C'est pour Nous
le Gospel

の全15曲。

4.jpg (29736 バイト)
撮影:Robert Guillerault

Christianは事前に30数曲の演奏可能曲をリストアップしているが、
コンサートはその中からその場の雰囲気で自由に選曲して演奏したらしい。
つまり東京公演では内容が大きく変わる可能性もあるということである。
このコンサートはChristianの独演であったが、日本ではStella Vanderが一曲に参加するかも知れないという情報が入っている。
(上記リストには14日演奏曲の他に"Theusz Hamtaahk"、"MDK"、"Lihns"、"Hhai"、"LA Dawotsin"
"Zess"、"The Night We Died"、"Ehn Deiss"、"Purificatem"などが挙がっているそうである。)

いずれにせよこのコンサートを見た友人達は口を揃えて、その素晴らしい出来を讃えており、
一人は「もはやMAGMAというグループは必要ないのではないか。」とまで言っている。

この東京公演以降、こういった形のソロコンサートは今のところまったく予定されていない。
ひょっとするとこれが最初で最後になるのかも知れない。
5月18日現在でまだ席に余裕があるということなので、
興味をもたれた方は是非ともこの歴史的瞬間を体験して欲しいと思う。

 

MAGMA 40th Anniversary Tour in Japan

去る2月12〜14日、Parisの会場Casino de Parisに於いてMAGMAは生誕40年を祝う特別公演を行なっている。

ゲストのJannick Topグループがオープニングとしては重過ぎるほどの"Infernal Machina"を披露。

続いて登場したMAGMAは純然たる新曲を2曲、"Emehnteht-Re"(50分超の完全版)、
Jannick Topグループと合体しての"De Futura"、タイトル未定のバラードを演奏した。

また4月29日於Lyonのコンサートのセットリストは上記から"De Futura"を外して"Kobaia"が追加された形であったので、
今回の日本公演もこれか、これに近い形になると予想される。

新曲は1曲目が暫定で"Slag Tanz"とか"Wohst Klaahmeun"
(後者が正式名称になる可能性が高い)などと呼ばれている10分程度の曲。
2曲目は"Felicite Thosz"と名付けられた25分程度の曲。

更にもう1曲、暫定で"Le Gospel"と呼ばれている7分程度の曲が準備中であるが、
これが今回の日本公演に間に合うかどうかは微妙である。
(14日のソロコンサートではピアノと声だけで初披露されたが、
残念ながらまだ現地でもMAGMAによる演奏は確認されていない。)

"Emehnteht-Re"は2005年の来日時にはまだ30分を少し越えるくらいであったが、
その後2パートが順次追加され、一昨年から50分を超える完全版が演奏されている。
今回はこの完全版が堪能できるはずである。
特に追加されたパートで繰り広げられる嵐のようなシンコペーションが生み出す
リズムの推進力には間違いなく圧倒されるだろう。

"Kobaia"はインストパートが全体的に一段と強度を増しており、要注目である。

アンコールの"タイトル未定のバラード"は2001年、2005年の来日時にも演奏されていたあの曲であるが、
更に曲は深化を続け、現在は英語の様にも聞こえる歌詞が追加されている。

 

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casino 13-02-09009DeFutura.jpg (1151939 バイト)
撮影:Jean-Christophe Alluin 2009年2月13日 "Felicite Thosz"(上)、"De Futura"(下)

 

2009年5月20日

 

東京公演を終えての修正と補足

東京3公演が28日に無事終了し、MAGMAは29日現在既に大阪入りしている。
東京でMAGMAの公演を観、またメンバー達と会って実際に確認したことに基づいて
明日の大阪公演を前に、少しの修正と補足をしておきたい。

MAGMA 渋谷O-East 5月27日、28日のセットリスト

01.新曲
02.Felicite Thosz(フェリシテ・トス)
03.Emehnteht-Re(エメンテト・レ)
(Stellaによるメンバー紹介)
04.Kobaia
05.Wohst Klaahmeun(ヴォスト・クラームン)

ほぼ休憩無しのおよそ130分

MAGMA1曲目の新曲はまだ完成しておらず暫定のヴァージョンである。タイトルは未定。
当面仮称として"Slag Tanz"と呼ばれるのではないだろうか。

"Wohst Klaahmeun"は実は最後の"タイトル未定のバラード"の
現在の暫定タイトルであることが判明。

"Kobaia"は15分程度に拡張されており、常に進化するMAGMAを象徴している。

Christianのドラムは、右肘の腱炎もすっかり良くなり全開モード。
更に"Felicite Thosz""Hhai""Wohst Klaahmeun"の3曲で歌ってくれる。

Stellaは意図的にかなり体重を落としたそうである。
今回は"Felicite Thosz"や"Emehnteht-Re"等独唱の見せ場がいっぱいである。

Isabelleは大きな見せ場は無かったが、特に低い声が良く出ていると感じた。

JamesとPhilippeは相変わらず凄いことを平然とやってのけている。
Jamesは覚えたての日本語を披露してくれるかも知れない。

今回初来日のメンバー達は完全にMAGMAに溶け込んでおり、
アンサンブルの一体感と力強さは見事であった。
ヴォーカリストのHerve Akninはかなりいい声をしている。
Bertrand Cardietのようなベル・カント唱法ではないが、
歌唱のパワフルさはAntoine Paganottiを上回っているだろう。
ステージ正面に立って熱唱する姿は存在感たっぷりである。
Benoit AlziaryのヴィブラフォンはMAGMAの音楽に良いアクセントになっている。
ソロ等の大きな見せ場はないが、超絶的な撥さばきは見事である。
Bruno Ruderは最年少ながら実に安定したピアノを聴かせてくれる。
"Felicite Thosz"中盤でのピアノソロは注目である。

27日の東京公演のみ,"Emehnteht-Re"の最後はChristianの不気味な笑い声と片手でミュートしたシンバルの一撃で終了。
翌日本人に確認したところ、軽いユーモアのようなものでCDには入れない、との事。
実際28日のライブではこのような遊びはなかった。

ヴィブラフォン奏者のBenoit Alziaryは27日のみ、途中から背中に「一番」と漢字で書かれたはっぴを着て演奏。
聞けば、その日に浅草で購入したものとの事。
実は浅草に同行したBruno Ruderとともに地下足袋をはいて演奏していたのだが、
恐らくライブの最中に気が付いた人はいないであろう。
かなりのお気に入りのようである。
28日の打ち上げにはBrunoは地下足袋のまま参加していた。
大阪公演を見に行く人は、ちょっと注目してみるのも一興である。

「To Love」のリマスター再発・日本仕様盤がどうにか東京の会場売りに間に合っていた。
多分大阪会場でも販売されると思うが、正式発売は来月中旬なので
会場売りを逃すと半月ほど待たされることになるそうである。
(手前味噌ながら今回の日本仕様向けに1万字程のライナーを書かせていただきました。)

5月29日追記

参照音源一覧

1) Christian Vander / To Love
2) OFFERING / Offering 1&2

3) Christian Vander / A Tous les Enfants
4) Christian Vander / Les Cyngnes et les Corbeaux
5) MAGMA / Live! (Seventh盤もしくはSeventh Japan盤)
6) MAGMA / Udu Wudu (Seventh盤もしくはSeventh Japan盤)
7) MAGMA / Attahk
8) MAGMA / Retrospektiw V
9) "Les Voix" 1992 Concert Douarnenez

 

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