「もっともっと、みんなに生きて貰いたいから……」
両親は医者であった。二人共幼い頃から体が弱く、そのせいで身近な存在であった医者に憧れ、その夢をかなえた。
お互い共感できるものがあったのか、周囲の反対を押し切り、駆け落ち同然で比較的高齢での職場結婚。その後、二人の娘を授かる。姉の名は朝霧、そしてその丁度3年後の同じ日に生まれた妹の名は、夕凪と名づけられた。
体の弱い両親から生まれた二人は、危惧された通り病弱であった。内科開業医として軌道に乗りつつあった父は、その蓄えによって小さな療養所“朝霧荘”を開設する。病に苦しむ人々の、そして愛娘達のために。
しかし開設直後、両親が次々と原因不明の病に倒れ、6年前に父親、4年前に母親が他界。
そして3年前、唯一の肉親であった姉も、両親と同じ奇病によって帰らぬ人となり、夕凪は天涯孤独の身となる。
自分もその病気で死ぬことが出来たら、どれ程楽だっただろう。
しかし、その望みが叶えられる事は無かった。彼女が侵されたもう一つの病魔によって、既に死ぬことすら叶わぬ体となってしまっていた。
もう一つの病魔とは、他でもない、レネゲイドウイルスであった。
悲しみに暮れ、その後約一年間は自宅でもある療養所に引きこもる。
が、当時から朝霧荘の管理人であった下山晴香に叱咤激励され、やがて両親と同じ道を歩む決心をする。
現在、近所の公立中学で、医学の道に進むべく勉学に勤しむ毎日。両親の才能もしっかりと受け継いでいる様子で、努力次第で確実に未来は開けるだろう。
朝霧荘では、名ばかりではあるが所長を勤めている。今は患者達の話し相手となったり、傍に居て安心感を与える程度しか出来ることは無いが、それも看護師としての立派な役割である。尚、運営自体は晴香が行っている。
病的な白い肌と硝子細工の様な華奢な体をしているため、コードネームでは“療養所の亡霊”などと呼ばれているが、本当に亡霊という訳ではない。尤も、クラスメート等からは“図書館の幽霊”などと言われているのだが……。
容姿や性格や才能から、当然の様にいじめの対象となっている。
性格:
温和で柔らかな性格。口数は多い方ではないが、常に相手の気持ちを考え、言葉を大事に発する。
動きは遅いが、何をするにも丁寧で、結局仕事を終えるのは誰よりも早かったりする、絵に書いたようなコツコツタイプ。
外出することは余り好きではなく、特に人ごみは嫌い。
素行・習慣:
病気を理由に体育の授業は出ない。事実、少し体を動かすとすぐに息切れを起こしてしまうので、体に負担のかかる行動は出来ない。
休み時間は常に図書館に居る。主に調べものや学習目的だが、意外にも冒険小説等も好み。そういうものに憧れているらしい。
休日には市立図書館で、小さな体に不釣合いなほど大きくて分厚い医学書や心理学書を読み漁る。その姿は、既に図書館の名物と化している。
UGNとの接触経験が無い訳ではない(依頼もこなしている)のだが、人を傷つける事を好まないため、「これが人の役に立つのなら」と自分に言い聞かせ、引き受けている。但し、身体的負担が大きな依頼は断るようにしている。
オリジナルロイスの補足:
氷斑 朝霧(ひむら・あさぎり)
丁度3年前に、奇病により他界。今の夕凪と丁度同じ年頃だった。
夕凪が最も慕っていた人物で、今でも事あるごとに胸の中で姉に思いを告げている。
「私の分まで生きてね……約束だよ。」
柴原 夏未(しばはら・なつみ)
同じ中学の生徒で、クラスメートであり唯一の友人。夕凪と同じ保健委員。
性格は対照的で、社交的で快活。テレビの話題や噂が好き。夕凪をいじめる男子を、男勝りの怒声で一喝する事もしばしば。
「凪ちゃ〜ん、図書館に引き篭もってばっか居ると病気になるよ。たまには外で遊んだら?」
下山 晴香(しもやま・はるか)
療養所“朝霧荘”の管理人。実質運営を任せられているのも彼女である。
良き理解者であるが、時には厳しく接し、締めるところは締める。夕凪にとっては正に“肝っ玉母さん”。
「ほらほら、いつまで出歩いてるの?患者さんが、話をしたいって首を長くして待ってるよ。」
※GM向け情報(お薦めシチュエーション)
病弱です。体が弱いので、心身に大きな負担の掛かる事件に巻き込むと、いっぱい苦しんでくれます。
また、療養所へ傷ついたOVを運び込むなどして、心配したり世話を焼いたりするのが大好きな、看病マニアです。
普段は気が弱いので、胸の奥底に眠る一滴の勇気を搾り出してくれるような、痛い演出をして貰えると喜びます(PLが)。裏表の無い完全癒し系な娘ですが、むしろ様々な形で虐待して、いぢめてあげてください。
勿論、性格通りのほのぼのプレイにもばっちり対応しています。
設定や初期ロイス等、書いてあること以外は自由に設定して頂いて構いません。
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