2004年12月10日

一度も貰った事などない、クリスマスプレゼントを貰いました。
しかし、それは私の心に届いた、絶望という名の贈り物でした。

拓君は、ディアボロスによって亡き者にされてしまいました。砂将さんがやっとの思いで救った命なのに、いとも簡単に。
心の底から憎しみという感情が湧き上がったのは、私の記憶ではこれが始めてでした。
私によって翻弄された運命に抗いながらも、最後まで必死に生きようとした拓君の、せめてもの罪滅ぼしを、という気持ちと共に。

私は、過去にディアボロスの事件に関わった方達と共に、彼を打ち滅ぼしました。
しかし、これで本当に全てが終わったとは思えないのです。こうも簡単に拭い去れる因縁とは、どうしても思えないのです。
それだけではありません。
初めて私の姿で人を傷つけ、それが彼に対する止めの一撃となった時、私の心の中に、なにか黒いものが流れ込む感覚…例えて言うなら、「妖狐」という存在が、人としての私の魂を喰らうような感覚を覚えました。
自分が、だんだん自分で無くなり、「彼女」の存在を制御出来なくなる気がして、拓君を失った悲しみとは別の、喪失感のようなものを感じました。
自分がとてつもなく怖い存在に思え、誰かに抑制して貰いたかったのでしょう。

力を使い果たした私はその場に倒れ、気が付いたら、最初に目にした龍堂さんに甘えてしまっていました。
本当に彼には、この前から迷惑を掛けっ放しです。妖狐というもう一つの存在が、私という人間を変えてしまっているのでしょうか。そうは思いたくありませんが…。
とにかく、龍堂さんに優しくされると、甘えたくなってしまうのです。兄が欲しかった私にとっては、龍堂さんは年の近い兄の様に見えてしまうという事も考えられます。
勿論、私も人間ですから、甘えたい気持ちが無いわけではないと思うのです。もしかしたら、甘えられないお母様や、普段は家に居ないお父様の代わりの様に、龍堂さんを見てしまっているのかも知れません。
そんな事を書いているうちに、また恥ずかしくなってしまいました。
明日にでも、謝りに行かなければ。
もし迷惑でなければ、お詫びに初詣に誘ってみようかと思います。
そして、心から拓君の冥福を祈りたいと思います。
それから、来年こそ龍堂さんに迷惑を掛けませんように、とも。