2004年11月20日

「レネゲイドウイルス」というものに侵されたことが分かってから、もう何年もの年月が経ちました。
私の中に、もう一人の「私」が住み着いてからというもの、そちらに関連した事件は絶える事はありません。
ここ最近も、恐らくレネゲイド、それも、UGNやFHといった組織に関係すると思われる事件に、私は巻き込まれました。

あの夜、私は「約束」をしました。
雨の中、傷だらけで倒れていた、御名方 拓君という男の子と。お姉さんを救ってみせる、って。
でも、後から気が付いたのですが、「約束」というものは、そう簡単にするものでありません。
覚悟することもなしに無茶な約束をして、仮にそれを破った時の心の傷がどれほど深いものであるか、という事を、あの時の私は、まだ知らずに居ました。

私は、約束を守ることが出来ませんでした。それどころか、不用意に彼やその周りの人たち、それに自分を傷つける事をしてしまいました。
拓君が、FHの“ディアボロス”という人物にどう利用されていたのかは、詳しくは存じませんでしたが、その為にご尽力下さった皆様に、この上ない御迷惑をお掛けする結果となってしまったのです。
私が無理をして彼を追いかけた時、連絡を取って下さった、県立高校の篠崎啓介さん、何も出来ずにいった弱い私を叱咤激励して下さった、実行力のある砂将英彰さん。 そして、拓君に会いにも行けずに半ば自暴自棄になっていた私を、優しく励まして下さった、今までオーヴァードであることすら知らなかった、龍堂京さん。
あの方達があの場に姿を現さなければ、拓君や私は、どうなっていたか想像もつきません。
拓君を救う事が出来たことが、唯一の救いでしょう。
でも、約束を破った私は、もう彼に顔を合わせることが出来ません。
会って謝る事の出来ない私が弱いのでしょうけど、せめて、遠くから彼の幸せを祈ることにします。

…それにしても、龍堂さんが優しくして下さった時の私の反応は、私自身も驚いてしまいました。
凄く恥ずかしかった。今、思い出して日記を書いていても、赤面してしまうほど。
胸に飛び込んで大声で泣いてしまった子供みたいな私を、嫌いになってしまわなければ良いのですが、どちらにしても後で謝って、誤解を解いておかなければなりません。
また、別の事件でご一緒する機会もあるのかも知れないのに、顔も見られないのでは困りますから。