考察:鉄道と地域経済

考察:鉄道と地域経済

 鉄道は交通機関である。交通機関であるからには、地域になんらかの影響を与えているはずである。ここでは、鉄道が群馬県内の地域にどんな影響を与えてきたのか考察してみた。
 人口の変化は、すなわち需要の変化である。つまり、人口の変化を見れば、その地域の経済規模の変化を推測することができる。各地区の人口動態から、鉄道と地域経済の関連性を見てみよう。

 まずは、長野原線の太子駅のあった、六合村の人口の変化を見ていただこう。群馬鉄山の開発によって人口が急増。鉄道までがひかれるようになった。しかし、長野原線が旅客営業を開始した直後から、人口の激減が見られる。おそらくは、群馬鉄山が枯渇しはじめ、その余剰輸送力で旅客営業を開始したものと推測される。そして群馬鉄山が閉山、さらに長野原線の太子〜長野原の廃止が追い討ちをかける形となり、現在も人口の減少傾向は続いている。
 それと比較する意味で、六合村の隣にあって、吾妻線という形で鉄道の残った長野原町の人口の変化を見てみよう。
 長野原町も、六合村の人口が減少し始めた頃から、わずかずつではあるが、人口の減少が見られる。しかし、注目すべき点は、近年、再び人口が微増傾向にあることである。
 もちろん、鉄道だけが地域の経済を左右しているわけではなく、様々な要因が重なって経済が成り立っているわけだが、現在の人口の減少の下げ止まり、微増傾向には、鉄道の影響も大きなものがあるのではないかと思われる。
 次に、もう一つ面白い事例を見ていただこう。嬬恋村は、草軽電気鉄道と、国鉄(JR)吾妻線の、両方の影響を受けている。
 この村の人口の変化は、面白いほど、鉄道の開廃とリンクしている。草軽電気鉄道が開通したことによって人口が増加。同鉄道が廃止になり人口が減少したが、吾妻線の大前延伸によって減少傾向が下げ止まり、近年は微増傾向にある。
 鉄道斜陽の時代といわれて久しいが、鉄道はいまだに地域経済とは密接な関係があるのである。
 最後に、鉄道が決定的に人口の増加をもたらした例を見ていただこう。
 月夜野町は上越新幹線の上毛高原駅を要しているが、上越新幹線の開通により。減少していた人口が、増加へと転換した。新幹線の開通というインパクトが、地域に与える影響というものは、すさまじいものがある。
 この人口が増加し始めた時期は、関越自動車道の開通した時期でもあり、すべてが上越新幹線の影響であるとは言い切れない部分はあるが、新幹線定期券「FREX」の上毛高原駅での発行数がが順調な伸びを見せていることを考えると、この月夜野町が首都圏の通勤圏として発展している様子がうかがえる。


 このように、鉄道と地域経済は非常に密接なつながりをもっている。自動車王国である群馬では、鉄道離れが進んでおり、鉄道の影響は小さくなってはいるが、それでもこれだけの影響を地域に与えているのである。こんな時期だからこそ、もう一度交通手段としての鉄道を、もう一度見直してみることが大切ではないのだろうか?