第二節

 二日後。
 シャウトは、またこないだの村に来ていた。
 今回はギルドマスター直々の依頼である。
 『異端の魔法使いがかってに縄張りを荒らしている。追放勧告をだしてこい。立ち去らなけりゃ、シーフギルドが相手だとな』
 一応、シーフギルドの資金は使っていいことになってはいるが、これだけのことをやるのに危険を感じて、他の冒険者に頼むのは駆け出しのシーフのやることだ。
 それこそ熟練のシーフであるシャウトにとっては、なんのことはない依頼だ。
 第一、こちらが敵意を見せてないのに襲ってくるようなやつはごくまれだし、大概は、話し合いで決着がつく。
 それに今回は場所も分かっていた。なんせ、数日前にいた場所である。
 そんなわけで、シャウトはまたこの村に来ているのだった。
 少し前に泊まっていた宿屋兼酒場にむかう。
 「こんにちわ、おっさん。また来たぜ!」
 「おぉ、シャウト君だったな。よく来てくれた。でも・・・・・・一体、どうしたんだい?」
 「まぁ、ちょいとここらで仕事ができたんで、そのついでってところかな」
 そういって、カウンターに座る。
 「またしばらく厄介になる。すまないな」
 「かまわねぇって。お客様はみな神様だよ」
 マスターが、がっはっはと声をたてて笑う。
 「とにかく、こないだ俺がつかってた部屋、開いてるかい? できればまた使いたいんだが・・・」
 「おぉ、開いてるとも。存分に使ってくれ」
 それだけ聞くと、シャウトは二階に上がっていった。


 その日の夕方。村人が待ちに待った冒険者様御一行様が村に到着した。
 シャウトの部屋から外の様子を見たところ、金属鎧にグレートソードといったファイター風の男が一人。ローブを着て杖を持ったマジシャン風の女が一人。あと、弓をもって革鎧を着た男とブレストプレートにメイスといった風貌の女が一人。それぞれ、レンジャーとプリーストだろうと思われる。
 (四人か。思ったよりも少ねぇな)
 大概、パーティーは5、6人で組む。だが、4人でも組めないことはない。もっとも、その場合はプリーストやレンジャー、それに、シーフといった職業の者も前衛に立って戦わなくてはいけないのだけれども。
 その、四人組みだが、村長の家にまず向かったみたいだ。
 それから少しして、村長の家からでると、シャウトのいる宿屋兼酒場に歩いてくるのが見えた。
 もっとも、宿屋はこの村ではここだけだから、当たり前といえば当たり前なのだが。


 その日の夜。例の冒険者のうちの、ファイターの風貌をした男がシャウトの部屋に来た。
 シャウトを疑っての事だろう。
 もちろん、シャウトは自分の仕事について何も語らなかった。ゆきすがりのシーフを装って会話を少ししていた。
 しばらくして、その男はシャウトを本当にただのゆきすがりのシーフだと思ったらしく、簡単に「邪魔したな」といって出ていった。
 もし、たとえ駆け出しのシーフでもいたなら、シャウトが何か隠していたことに気づいていただろう。シャウトは思っていることが顔に出やすいタイプだと、自分自身でも思っていたりする。

 (明日の朝早く、マスターに一言声をかけてから出て行くか・・・)




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