It's came from farland
〜文月第五週〜
第四話:お嬢様は・・・(前)
「・・・で、なんで貴様が付いてきているんだ」
青色をしたPW「青霊」と通信が繋がり、画面に小型のモニタが開く。そこには凄く不機嫌そうな式部の顔が映し出されていた。
「いや。あそこに残っていてもしょうがないし。それに、新型のPWってのも気になったから」
式部に対して猛がしゃあしゃあと答える。ちなみにこの二人、先ほどから同じような押し問答を何回も繰り返していた。
初めのうちはミリアも「ほら、二人ともぉ」とか、「いいかげんにしなよ・・・」とか、一応、ツッコミを入れていたのだが、徐々にそれも無駄だと悟ってか、二人の少し後ろを赤いPW「赤霊」に乗って黙々と付いてきている。
ちなみに、猛は前の戦闘で乗っていた02式改をそのまま使っていた。
「大体、貴様は民間人ではないか。まったく、艦長も気がしれない・・・」
「んなこと言ったら、あんただってミリアだって初めは民間人だったでしょうが」
「何を言うか、俺はちゃんとした軍の訓練を受けて・・・」
「なにぉう。だいたい、そんな軍の訓練ったって、今の軍隊なんかじゃ・・・」
見る人が見れば、青霊と02式改の間に火花が散っている・・・ように見えた。
「(はぁ・・・なんだかんんだ言っても、結構いいコンビよね・・・)」
ミリアの膝の上の小猫・・・タマが呆れ顔のミリアに向かって「みゃあ」と小さく鳴いた。
「あ、何? 心配してくれるの? うん、ありがとね」
ミリアがタマの首の下を撫でてやる。すると、タマは気持ちよさそうにもう一鳴きした。
「では、金森博士。お約束通り、完成した『はなやしき参号』を確かに受け取りました」
カナザワシティ、市立PW研究所内。
式部が何枚かの書類に目を通しサインをする。
「なぁ、これで、新型のPWが地球防衛軍の物となったんかい?」
「はい、そうですね」
ソファに式部が座って、向かいには髭をはやした白髪のおじいさんとも見る事ができるような風貌の人が座っている。どうやら、この人が新型PWの開発に関与したであろう金森博士という人らしい。ちなみに、式部の後ろに猛とミリアは立っている。
「ふむ。これでこちらも肩の荷が降りたようじゃよ。で、どうするんじゃ? すぐ戻るのか?」
「えぇ。あまり『しゅばるつ』を手すきにするわけにもいかないので」
「それは残念じゃな。翔も要も、おぬし達に会いたがってたんじゃが・・・」
金森博士が聞きなれない人の名前を言う。
「(・・・誰?)」
「(金森博士のお孫さん。PWのパイロットになりたいんだってさ)」
「(へぇ・・・)」
「えぇ。お二人にはよろしく言っておいて下さい」
式部が丁重に言うと書類を適当にまとめ、一つの封筒に入れる。
「では、私たちはこれにて失礼します」
「うむ。ごくろうさん」
歩き出す式部を先頭に猛達は研究所を出た。
「さてと、格納庫に向かって『はなやしき参号』を受け取って帰るぞ」
「自由時間は!?」
「そんなものあるか!!!」
猛の冗談めかしたセリフにまでツッコミを入れる式部。
「(あぁ〜ぁ。こりゃ本当にコンビ結成かなぁ)」
ミリアがタマを抱き直す。あからさまに呆れ顔のまま。
「大体貴様は何か間違っているんだ! なんでお前のような奴が第一種のPW操縦の免許を持ってたり・・・」
ズシィィィィン・・・
「それに、なんで三原重工のお嬢さんと一緒にいたり・・・」
ズシィィィィィィィィィン・・・
「それにだな、貴様は・・・・・・」
ズシィィィィィィィィィィィィィィィン・・・
「な、なんだなんだ!?」
慌てる式部。ちなみに言うまでもなく猛とミリアも慌てている。
それもそのはず。地面が・・・揺れているのだ。
「こ、これは!?」
そして、猛達の目の前には信じられない光景が広がっていた。
「これは・・・何?」
ミリアが呟く。しかし、誰もそれに答えを返す事はできなかった。
それもそのはず。彼らの前で、全長20mはあろうかという巨大なPWが動いていたのだ。この状態で状況を把握できる人がいたら、それはそれでさすがというものだろう。
「あれは・・・もしかして、あれが『はなやしき参号』!?」
「大渡! ば、馬鹿言え! どこにそんな確証が・・・」
無言で巨大なPWの肩のあたりを指す猛。式部とミリアがそこを見ると、そこにはくっきりと『はなやしき参号』と書かれている。
言葉を失う三人。
無理もあるまい。
巨大なPWが・・・
しかも、今日、受け渡されたはずのPWが・・・
街を破壊しながら暴走しているのだから!!
さて、どうする?
1.先手必勝! さっさと自分のPWの所まで戻ってあのPWを止める!(有効投票 3票)
2.ちょっと待て! あのPWが動いているわけとかを確認する方が先だ!(有効投票 2票)