It's came from farland

〜水無月第五週〜


第三話:僕達の地球を守って!(前)


 「あ、いたいた」
 猛が昼間、PWに乗っていた2人を探しはじめて数分。戦艦『しゅばるつ』の格納庫で、赤いPWに乗っていた女の子を見つけた。
 女の子は小さな小猫を抱きしめ、彼女の乗っていた赤いPWを見上げている・・・ように見える。
 (やっぱり、目を閉じているように見えるよなぁ・・・)
 そう、始めに少しだけ感じた違和感。彼女は目を閉じているのだ。今だけでなく、初めて会ったニイガタシティでの戦闘の時から。腰まであるような金髪のロングの髪の毛に、白い肌。顔には少しそばかすが残っていて、これであと青い瞳でも持っていれば、そのまま名作劇場にでも出てきそうな風貌だった。
 女の子が猛の足音にでも気づいたのか、猛の方へと振りかえる。
 「あ、こんにちわ。さっきのIdaten改に乗っていた人ですよね?」
 女の子がペコリと頭を下げる。しぐさや、話し方から見ても、どう見ても年齢15より前じゃないかと思われる。それにつられて、猛も「あ、どうも」と頭を下げた。
 「何か、御用でしょうか?」
 「あ、別に、用事ってほどでもねぇけど・・・キミ、さっきの赤いPWのパイロットだよね?」
 「うん」
 また、ペコリと頭を下げる。
 「ミリアルド=ゼフィー。皆さんからは、ミリアって呼ばれてますけど。よろしくお願いしますね」
 「あ、あぁ、こちらこそ」
 やはりミリアは目を閉じたまま、右手を出して来た。それにつられて握手をしかえす猛。
 (やっぱり。この子、目が見えないんじゃぁ。・・・でも、PWは操縦してたよな)
 だが、その疑問が口から出る事は無かった。何故なら、すぐに頭の上から怒鳴り声が聞こえてきたからだ。
 「ミリア!!!」
 青年男性の声。
 猛が頭を上げると、そこには、先ほどの青いPWに乗っていた青年が、その青いPWのコクピットから叫んでいるようだった。そして、一気にコクピットから滑り降りて来る。
 「あ、ちょうどいいや。あんたも探してた・・・って、な、なんだよ」
 猛が何かを口に出す前に、その青年が握手していた手を引き離す。
 「ミリア、何度も言っている。民間人と必要以上に接触する必要は無いんだ」
 どうやら、その青年に猛はうつってないらしい。猛に背を向けてミリアに向かって、色々と言っている。さながら、軍隊の若い小隊長といった感じだろうか。
 「お、おい! てめぇ! その言い方はねぇだろ!!」
 猛が青年の肩を掴んで、自分の方へと振り向かせようとする・・・が、その手は振り払われてしまった。
 「そこの民間人。用事が済んだのなら、さっさと出て行け。それでなくば、与えられた部屋でじっとしていろ」
 青年はそれだけ言うと「行くぞ、ミリア」と言い、奥へと歩いていってしまった。
 「・・・ごめんなさいね。式部も、あれで結構いい奴なんだけど・・・ちょっと人と馴れ合うのが苦手みたいなんで」
 それだけ言うと、ミリアも式部と呼んでいた青年の行った方へと、パタパタと小走りに行ってしまった。

 「・・・・・・あ、機体の名前聞き忘れた。それと・・・」
 (結局、最後まで目、つぶってたな。あの子・・・)



 翌日。
 『しゅばるつ』艦内、ミーティングルームにて、艦長である十三と、かすみ。それと猛は向かい合っていた。
 かすみがバックパックから書類の様な物を取り出し、十三に渡す。
 「これが、おとうさ・・・いえ、三原重工社長の考えているプランです」
 十三がその書類に目を通している。
 そして、その顔が徐々に険しくなっていくのが、傍目に見てもわかった。
 「こりゃあ・・・この書類は本当かね、かすみちゃん」
 かすみがゆっくり頷く。
 「だとすると・・・ちぃと大事じゃな。我々だけでなく、主要スタッフを集めるべきだろう」
 そう言って十三が近くの受話器を取り、ブリッジへと繋ぐ。
 「うむ・・・そうだ。今から10分後から会議を始める。・・・うむ。よろしく頼む」

 『艦内全スタッフへと通達。艦内全スタッフへと通達。各フロア責任者、及びPW操縦者は10分後までに会議室へとお集まり下さい。もう一度繰り返します。艦内全スタッフへと・・・』

 「(なぁ、かすみ。一体、何が何だってんだい?)」
 「(つまりはね・・・って、これから始まる会議で艦長が話してくれるわよ)」
 「(ちぇっ)」

 10分後。
 会議室には、この艦の主要スタッフなのであろう十数人が集まっていた。中には、式部やミリアの顔も見られた。ミリアは猛に気が付いたらしく、手をふろうとして・・・やめた。なぜなら、隣で式部がミリアをキツイ目で見てたからだ。
 (あんにゃろ・・・)
 式部は気を悪くしたつもりは、毛頭無いようだった。
 「うむ。これで全部みたいじゃな」
 十三が周りを見回す。
 「艦長。今度の招集は何なのでしょうか?」
 集められたうちの一人が聞いて来る。服装の感じからして、ブリッジにいるようなタイプのお姉さんだ。目元は・・・かなりキツイ。
 「うむ。集めた理由については、是非、皆にも聞いてほしかったからだ。この書類についてな」
 十三がかすみの持ってきた書類を机の上で、バンッ、と叩く。
 「もう一ついいでしょうか、艦長」
 今度は式部だ。
 「今、この部屋には民間人がいるようですが、退室を命じなくてよろしいのでしょうか」
 そう言うと、猛とかすみの方をちらりと見る。
 「まぁ、そう言うな、式部。大体、この情報自体、彼らが持ってきてくれた情報だ。その彼らを追い出す事なんざできんよ」
 「・・・では、お言葉ですが、私達はその民間人の持ってきた情報を聞かされる為に集められたと?」
 あきらかに式部が不満の声を上げる。
 周りの他の人達は黙って見ているようだ。どうやら、いつもの事らしい。
 「式部・・・」十三がつかつかと式部に近づいていく。そして、胸ぐらを少し掴むと式部を鋭く睨んだ・・・ように見えた。一瞬だけ。そしてすぐにいつもの顔に戻り「ワシが構わんと言ったら、構わんのだよ」
 それだけ言うと、十三はまた始めに立っていた場所へと戻る。
 「他に質問は無いようじゃな。では、始めようかの」



 三原重工はとあるプロジェクトを進めていた。
 そのプロジェクトとは『絶対的な力を持って、この日本の混乱を統治する』というプロジェクトだ。
 プロジェクトリーダーは三原重工社長、三原 透。
 今回のこのプロジェクトは社長自らが中心となって進めているプロジェクト、と、それだけでもどれだけの規模のプロジェクトかが容易に判る物だった。
 実際、このプロジェクトはもう何年も前から進められているらしい。
 ここ数年の三原重工のPWは、いわばこのプロジェクトの副産物でしか無いようなのであった。

 純粋な信念を持って、真の平和を望んで、社長の三原 透はこのプロジェクトを考えたのかもしれない。しかし、ここ数年、かすみ自身も父親の姿を見てないらしい。そして、逆によく表に出るようになった副社長。
 かすみには、彼がどうみても信じられなかった。
 そこでかすみは考えて、プロジェクトが実行されている、とある東北の隠し工場へと忍び込み、こうして書類を盗み出す事に成功したというわけだ。

 そして、プロジェクトはごく近いうちに完成するらしいという報告まで、かすみの持ってきた書類には記されていた。
 ここ最近の三原重工の無理矢理な周りへの干渉は、こういった事実が裏であるかららしい。実際に、ニイガタシティにまで手を出すようになってきたわけだ。



 「・・・で、つまり、何が言いたいのでしょう?」
 スタッフのうちの一人が艦長に話し掛ける。
 「まぁ、まて。ここからだ重要なのは。どうやら、このプロジェクトでは、最強を求めるあまりに細菌兵器や生物兵器。さらには核兵器まで開発していたようなんじゃ」
 会議室にどよめきが巻き起こる。
 どれも、各企業間での条約で開発してはいけない兵器である。破れば、周りの企業すべてが敵に回るというのは間違いの無い事実であろう。
 「つまり、周りの企業を相手にしても負けないくらいのPWを制作中・・・と、言うわけじゃな、かすみくん」
 「はい。父・・・三原 透は間違っても、条約違反へと手を出すような人ではありません。私は・・・私だけではどうにもならないと思いました。そこで、この戦艦の事を思い出したのです。十三おじさんの事を」
 かすみが発言する。それに十三が「ちなみに、彼女はワシの姪にあたるんじゃ」と付け加える。
 「このまま三原が日本を占領したら、次は世界へと目を向けるでしょう。そうなれば・・・第三次世界大戦と呼ぶくらいに戦火が広がるかもしれません。いや・・・それでなくても、細菌兵器、生物兵器、核兵器などは・・・ゆるせません」
 「じゃな。それでなくても、現在地球は病んでいる。これ以上、この地球を、無粋な兵器で汚す事は許せんな。なぁ、皆の衆!」
 各々から「もちろんだ!」とか「そうですよ!」とか言う声があがっている。
 「うむ。そうこなくてはな。・・・よし、本艦は、これより三原重工のこのプロジェクト・・・プロジェクト名『HPW』の解明へと全力を向けて取り組む。よいな!!」

 会議室で歓声があがった。



 「と、言うわけで、かすみちゃんに・・・大渡君だったかな」
 「呼び捨てでいいですよ。かえって気持ち悪いですから」
 猛が居心地悪そうに頭をかく。
 あれから、会議室では、具体的な作戦など、いくつか提案されてそれについてさらに絞り込んで来るということで、解散となった。現在、十三とかすみと猛の三人だけに戻っている。
 「じゃあ、大渡と呼ばせてもらおう。君達はどうするつもりじゃな?」
 「私は・・・行く所がありませんから。できれば、この艦に置いてもらえませんか? あ、PWのパイロットが足りないというのなら、私も多少ですけれど操縦できますし、それにメカニックが足りないのだったらば、その仕事も多少ならできますし・・・」
 かすみは、一生懸命にあれこれと言う。
 それに対して、十三は「なぁに。ここにいたいというなら、構わないさ。まぁ、PWに乗るとかメカニックとかの仕事とかは、気が向いたらでいい。まぁ、やってくれるに超した事は無いがな」と言って、笑っていた。
 そこまで聞いて安心したのか、かすみは心から嬉しそうに笑っていた。
 「で、大渡はどうするつもりだったんじゃ?」
 「俺は・・・余っているPWとかありますか?」
 「ん・・・何機かあったと思うがのぉ」
 猛は少し考え、そして、はっきりと言った。
 「俺も、この艦にPWのパイロットとして置いて下さい!」

 「結局、この艦にいる事になったんですね」
 再び格納庫。
 十三に始めは案内してもらったのだが、格納庫入り口あたりでミリアがいたのを見て、十三が「後は任せる」と、言って行ってしまったのだ。
 「まぁね。他にやる事も無いし。・・・いや、俺にできる事っていったら、本当はPWの操縦くらいだしな」
 「あはは」
 ミリアが屈託の無い笑顔を見せる。・・・が、やはり目は空いてない。腕の中で小猫が「にゃぁ〜」と鳴いていた。
 「・・・あ、そうそう。ミリア。君・・・もしかして、目、見えない?」
 「わかります?」
 あっさり。
 「あ、いや、そりゃ・・・ずっと目、閉じてるじゃないか」
 「だよね〜」
 妙に軽い。ちなみに、彼女は14歳だったらしい。その歳であれだけのPWの操縦ができるというだけでも驚きなのに、さらに目が見えないときたもんだ。
 「じゃあ、一体、どうやって操縦してたり・・・って、普通に生活するのだって不便じゃないの?」
 「ほら、この子がいるから」
 と、言って、ミリアは腕の中の小猫を見せた。小猫が「にゃ〜」と再び鳴く。
 「この子とね、あたしの五感、何故かリンクしてるの。・・・つまり、この子が見たり感じたり聞いたりしたことは、すべてあたしも感じる事ができるわけ。・・・なんでかは知らないけどね」
 (世の中・・・色々あるもんだな)
 何故か納得してしまう猛であった。

 「で、式部は本名、式部 哲也って言ってねぇ、本当に、悪い奴じゃないんだけどさ。あ、口は悪いけどね」
 ミリアは質問すれば、何でも答えてくれた。
 この戦艦の事、艦長について、式部について、そして、彼女自身についても。
 「じゃあ、ミリアと式部が乗っていたあのPWは、一体、なんなんだい?」
 「あれはね。あたしの乗ってた赤いのが赤霊で、式部の青いのが青霊って呼ばれてるよ。ベースはMSの何かの機体らしいけど、でもここのメカニックによって、物凄い改造が施されてるの」
 身振り手振りも使って、色々と話し掛けて来る。
 (こういうのを見てて飽きないっていうのかな)
 「じゃ、じゃあさ・・・」

 ウィィィィィィィィン、ウィィィィィィィィィン・・・

 と、次の質問をする前に艦内にサイレンのようなものが鳴り響いた。
 「こ、これは!?」
 「これはね・・・非常事態のサイレン! あたしはパイロットだから、PWがいつでも出られるようにスタンバイに入らないと!」
 そう言って、ミリアは格納庫のさらに奥へと走っていってしまう。
 「あ、ミリア! 最後に質問だけど! どのへんが余ってて使える機体なんだい!!」
 ミリアは遠くで振り替えると、大きく両手を広げて「ここら辺、ぜぇんぶ! なんせPWの乗り手はあたしと式部だけなんだから!」と言って、走っていってしまった。
 「ここらへん・・・全部?」
 見渡せば、比較的整備のなされた軍事用のPWが何体も置いてある。しかも、どれもが、どこかしら改造してあるようだった。
 「俺も何かに乗ってスタンバイしておいた方がいいか。折角この艦にいるんだしな」

 さて、どうするか。


 1.何やら、巨大なブレードと盾を持った近接戦を想定してるであろう三原製のTakeru改(っぽいもの)
 (有効投票 2票)

 2.何やら、巨大な拳銃を2丁持った中距離戦を想定してるであろうMS製の02式改(っぽいもの)
 (有効投票 3票)

 3.何やら、巨大なレールガンを持った遠距離戦を想定しているであろう神川製のルナU改(っぽいもの)
 (有効投票 2票)





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