It's came from farland

〜水無月第四週〜

第二話:地球防衛群(後編)

 猛は警備のPWと三原重工側のPWの間に牽制するように躍り出るとナイフを構えた。
 「お嬢様、あの警備の兵へ通信を繋いでくれるか」
 「あいよっ」
 サブコクピットでいくつかのパネルを操作する。モニタの1部に相手側のコクピットがウィンドウで現れる。
 「あなた、誰! 私をどーするの!」
 ウィンドウには半ばベソをかきながら怒鳴っている由美子の姿が写っている。
 「こっちが誰でもいい! 加勢する。援護してくれ、以上だ!」
 「なっ!?」
 猛が通信を一方的に切る。
 「・・・もう少し説明してやってもいいんじゃない?」
 「んなこと言ってられるか。ほれ、来るぞ!」
 三原の部隊は相手をKM−Tに定めたらしく、手慣れたコンビネーションで攻撃をしかけてくる。
 「くらえっ!」
 マシンガンが放たれる。猛はそれを軽々と避けるとすぐそこに2体目がいた。

 ブォォォン
 高出力の近接戦用のレーザーが目前に迫る。が、それも軽々と避ける。どうやら、これが基本戦法らしい。なるほど、よくできている。
 「そんな腕じゃ俺は倒せないぜ!」
 よくできている、が、KMーTの機動力と猛の腕には多少追いつかないようだ。さらには、訓練もそこそこされているらしく、すぐに3体目のマシンガンが放たれる。
 とっさに見ればすでに4体目がその後の追い討ちの近接を狙うように接近してきていた。
 (これを避けてたんじゃ、いつまでたっても反撃ができない!)
 「しっかり捕まってろ!」
 猛はかすみに叫ぶだけ叫んでから、シールドを構えると突撃した。マシンガンを放った3体目に向かって!
 「何っ!」
 これには相手も予想できなかったらしい。マシンガンを打ってきていたPWにそのまま勢いをつけて体当たりをすると、そのままの勢いで三原側のリーダーらしき機体へと振動ナイフを抜いて切りかかる!
 「もらったぁっ!!」

 ガキィィィィッッ!!

 こちらのナイフをリーダー・・・ガイアは振動ブレードをとっさに抜いて受け止める。
 「何!?」
 今度は猛が驚く番だった。確かに、相手を捕らえたはずだ。それをかわされるなんて。
 「ほぅ、いい腕してマス」
 通信が入り、声だけ聞こえて来る。
 「そのレーザー砲は使わないのですか?」
 (若い・・・それに言葉の感じからして、外人か?)
 「使えるなら、使った方がいいんでは無いですか?」
 「あんたらなんかに必要なんか無いわよ!!」
 かすみが後ろで怒鳴る。しかし、通信は向こうが言うだけ言うと切られてしまった。そして相手のPWが一気に出力を上げてKM−Tは大きく後ろへと押し返される。
 「ちっ・・・根本的なパワーの違いぐわぁぁぁっ!?」
 後ろへ押し返されたと同時くらいに、大きく機体が揺れる。後ろからマシンガンの攻撃をくらったらしい。
 「おい、警備の! 援護してくれよ!!」
 かすみが絶妙なタイミングで通信を開き、警備兵に向かって猛が大きく怒鳴る。
 「えっ!? えっっ!? えぇっっっと!?」
 「ちくちょう! てめえは銃の使い方も知らねぇのか!!」
 「新人なんですよぉ! 私にどーしろってんですかぁ!!」
 そうこうしているうちに、次々と敵の反撃が始まる。猛は避けながら、どんどん後退してまた警備のPWと三原の間に立つような形になり、ナイフを構え直す。
 「はぁっ・・・援護が期待できないってこたぁ、さすがにこんな機体じゃキツイか」
 「ん?」
 後ろの席でかすみが微妙な声を出す。
 (しまった、この機械をけなすのはタブーだったか!?)
 「あ、いや、この機体が悪いんじゃなくて、つまりだな、その・・・」
 「そうじゃない、何か来るよ!」



 「こちらは地球防衛軍である。三原重工に告ぐ。おとなしく引き返せ。さもなくば、当方は当方の倫理観に従って、そなたらを実力行使で排除する。もう1度繰り返す。こちはら地球防衛軍で・・・」
 かなりの速度で近づいてきた戦艦の外部音源から壮年の男性の声が聞こえて来る。
 そして、その真っ黒い戦艦には『しゅばるつ』と書いてあるのが見える。
 「な、何だぁ・・・」
 猛の目が点になっている。どうやら、警備の由美子も三原のガイアも、また、ガイアの部下達も何がなんだかわからなくなっていた。
 しかし、ただ1人。かすみは違った。
 手早く通信の準備をすると、かすみは戦艦しゅばるつへ向かって通信を開く。
 「おじさん? 十三おじさんでしょ!?」
 「かすみちゃんか!?」
 「(・・・知り合い、なのか?)」
 「(ほら、私が会おうとしていた人物)」
 猛は、納得したようにうなづくと、また三原重工側のPWの方を向く。
 「話は後。十三おじさん、とりあえず、力を貸して貰えない?」
 かすみが思い切り叫ぶ。実際はそこまで大声でなくても通じるのだが。
 「貸すも何も、初めからニイガタシティから救援信号をキャッチしてたでな。そのつもりだわい! 式部、ミリア、出撃しろ! あのIdaten改を援護しろ!」
 「KM−Tです!!」
 かすみの反論もむなしく、通信は切られた。
 そして、しゅばるつから、見たことの無い機体が2体、発進され、KM−Tの後ろにつくように止まる。片方は青でカラーリングされていて、見た所近接戦闘を主体としているのか、巨大な振動ブレードのようなものを手にしている。もう片方は赤でカラーリングされていて、こちらは遠距離戦を主体としているらしい。両方に巨大な砲門がついている。レーザーなのか、実弾兵器なのかまでは分からない。
 そして、両方から通信が一遍にKM−Tに届いた。
 「隊長の命令により、援護する。足手まといにならないでくれ」
 「式部! そういう言い方は無いでしょ! えっと、お願いしますね!」
 青いPWに乗っているのは、冷たい感じを受ける、でも二枚目な軍人風の男で、赤いPWに乗っているのは、目を閉じているおとなしそうな金髪の女の子だった。
 「あぁ。味方なんだろ? よろしく頼む。はっきり言って、苦戦してんだ。あてにしていた、警備のがあれじゃあな」
 猛が皮肉たっぷりに言う。
 「あれって、どういう意味ですかぁっ!!」
 さらに通信のウィンドウが開いた。どうやら、警備のにも聞こえてたらしい。
 「あれは、あれさ。詳しく言って欲しいのかい、役立たずの警備兵の嬢ちゃんよ」
 「(猛、ちょっと言い過ぎ・・・)」
 かすみの注意も聞かずに、猛は由美子を次々と責め立てている。とりあえず、背後から攻撃をくらった事と、一瞬でもあてにしていた自分が許せなかったらしい。
 「ま、と、とにかく、行きますよ!」
 「ふん」
 青いのと赤いのからの通信ウィンドウが閉じる。
 「・・・ほれ、悔しかったら何か反論してみぃ、ん? ほれ?」
 猛はまだ口喧嘩をしていたようだ。いや、一方的な口によるいじめだろうか、これは。
 「ちょっと猛! そんなこと、言ってる場合じゃないでしょ!」
 「・・・・・・ってやる」
 通信オフのスイッチへと延びていたかすみの手が止まった。
 「え、今、なんて・・・」
 「やってやるって言ったの! いい、見てなさい! 私だってちゃんとやれるわよ!! ほら、さっさと近接でもなんでも仕掛けにいきなさい!!! 援護でもなんでもしてやるわよ!!!」
 通信ウィンドウの中で眼鏡を大きくずらしながら、由美子が怒鳴る。様子から見て・・・キレたみたいだ。
 「ちょ、ちょっと、あなた。だいじょぅ」

 −通信オフ−

 「猛! なんでウィンドウを閉じるの!」
 「もう十分だ。さて、いくぞ!」
 猛も戦闘態勢に再び入る。
 見れば、赤いのも青いのも、そして警備の98式改も戦闘の態勢へと入っていた。



 実際、これだけの人数、そして、これだけの腕のパイロットが揃っていると、相手では無かった。
 猛はもちろん、青い方に乗っていた軍人風の男は猛よりも接近戦だけなら上手に見えたし、赤い方に乗っていた女の子は遠距離のレーザーを使いこなしていた。
 1番心配された警備の由美子も、ふっきれたのか、マシンガンを撃ちつつ近づいてナイフで切りかかるという、シンプルだが1番効率的な戦いかたで相手を押していた。
 実際に、まともに相手になったのはリーダーのガイアだけのように見えた。しかし、そのガイアも多対一では分が悪いらしく、致命傷をくらう前に、動作可能な部下と逃走へと入っていた。

 ・・・とりあえず、ニイガタシティからは退けることができたわけだ。



 夜。
 猛は「しゅばるつ」の艦内にいた。
 とりあえず、かすみがここの艦長へと用事があるらしい。
 つまり、暇なわけだ。
 林 十三と名乗った艦長は「今日は疲れているだろう。明日の朝一で会議という形で話を聞こうではないか。かすみちゃんも、それでいいね」と言っていた。かすみがそれを了承したため、本日は艦内でゆっくりと休んでください、という事になった。
 実際はまだニイガタシティの隣に「しゅばるつ」は止まっている。

 ・・・さて、どうするかな。



1.かすみと話でもしにいくか(有効投票 1票)

2.昼間の警備の女の子、どうなったかな(有効投票 3票)

3.青いのと赤いのに乗っていたのは、ここの艦内のパイロットなんだよな。いるかな(有効投票 4票)



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