It's came from farland

〜水無月第四週〜

第二話:地球防衛群(中編)


 「だめだ。あれじゃやられるぞ」
 「えっ?」
 今、KM−Tのコクピットには猛が座っている。レーザーが使えなくても、様々な要素を考慮した上で、猛をメインにおいた方がいいだろうとなっている。
 そして、その猛が言ったのだ。「やられる」と。
 「なんでわかるの?」
 サブコクピットからかすみが聞いて来る。
 「見てわからないようじゃ、これから生き残れないぜ、お嬢様」
 猛が少しキツイ口調で言い放つ。
 (そう言われても・・・)

 「動きに注目してみろよ」
 警備のPWの残りは2体。相手の三原重工側は残り6体。
 「動き?」
 「あぁ。三原のPWは一点集中で戦っているだろ?」
 「・・・言われてみれば」
 警備のPWのうちの1体が持つマシンガンが三原重工の残り6体の内の1体をとらえる。その1体はそこで煙を上げて小爆発を起こし動きを止める。しかし、残りの5体がその警備のPWに次々と波状攻撃をくらわせる。
 「ほれ。これであれも戦闘不能さ」
 見れば、確かに警備のPWが煙を上げて動かなくなっているのが見える。
 「あれも戦略?」
 「基本中の基本だけどな。ほれ、いくぜ!」
 「あ、ちょっ・・・きゃぁっ!」
 猛がKM−Tを急発進させた。
 モニタには戦場がどんどん大きくなっていっていた。



 「隊長! 所属不明機が高速で接近中です!」
 「数は!?」
 「小型が1体と戦艦クラスが1体です! しかも、それぞれ6時と9時の方向!」
 三原重工侵攻部隊の隊長ガイア=トリスンは迷っていた。若くしてPWの腕を見込まれて三原重工のパイロットとして三原重工へ就職。故郷の国はアメリカ、だが、アメリカのPW産業に比べて日本のPW産業は大きく進んでいる。それもガイアが日本へ来た大きな理由の1つではある。
 そして彼は今、ニイガタシティの議会に三原重工への協力を要請するために足を運んでいたのである。もっとも、要請というよりは強要に来たという方が正しいのかもしれないが。
 とにかく、彼の任務はニイガタシティの議会の長に会うことだった。それが、近づいたとたんに警備兵が攻撃態勢へと入っていったのである。そして一言。
 「我がニイガタシティは企業の言いなりにはならない! 撤退を要求する!」
 日本人が来てたのなら、一旦引いただろう。だが、彼はアメリカ人だ。そう言われて立ち去るわけが無い。そして、実力行使が始まって今にいたる。
 実際、警備兵は残り1体。後数分で落とせる。しかし、正体不明のPWが2体、別々の方向から、しかも片方は戦艦クラスが接近中ときたもんだ。
 (勝てる・・・のか?)
 「いや、総員、もう1度体勢を立て直せ! すべて迎え撃つ!」
 部下のPWから様々な了解の声が聞こえる。
 (やってやるさ! ステーツから逃げた俺に他に居場所は無いんだ!)


 ニイガタシティ警備兵、軍事用PW運転歴3ヶ月の新田 由美子はパニックに陥っていた。
 髪の毛も汗でぐしゃぐしゃ。大きめの眼鏡も気をつけないと、すぐずり落ちてしまうような様子。周りの味方はみんなやられた。相手はまだたくさん。自分は新米。
 「あ、あわわわわわぁ・・・」
 (考えて、考えて、考えて、考えるのよ、由美子。あーもう、どうしろってのさ。私に何をどうしろって? えっ? 何? 何?)
 マシンガンすらも構えていない事に気が付き、一応構え直す。由美子の機体はMSの98式を改造してあるという意味から、98式改と呼ばれるPWだ。ほぼ骨董品に近い。
 (ひーん。郷里のおかぁさぁん・・・私が悪かったよぉ!)


 「ニイガタシティまであと少しです」
 ブリッジにオペレータの声が響く。
 高速移動可能なホバー式戦艦『しゅばるつ』のブリッジの艦長席に座り、林 十三は悠然と構えていた。
 しゅばるつの名に恥じないように、戦艦自体のカラーリングは黒。夜だったらば、接近されたことも気づかないかもしれないくらいのいでたちだ。
 「残りの戦力はどれくらいだ」
 十三のややしわがれた、しかし、良く響く声。それに対してオペレータが少しパネルを操作すると、さっきまで外の景色が写っていたモニタの1部がニイガタシティ周辺のマップにへと変る。
 「ニイガタシティ警備兵残り1体。識別は98式、改造有り。三原重工側、残り5体、識別はTakeruです。そしてあと1体。所属不明機が高速接近中。識別は・・・Idatenだと思われます、改造有りです」
 「やや遅れたみたいだな・・・」十三がマップを見ながらつぶやく。しかし、すぐ立ち上がり「総員戦闘配置! 式部とミリアに出撃できるように言っておけ! それと、ニイガタシティの議長へ到着の信号を出しておけ!」
 『しゅばるつ』のブリッジに声が響いた。



戻ります