It's came from farland
〜水無月第二週〜
Misson1:そして嵐はやってくる(後編)
あたし・・・三原かすみが激しいゆれで目が覚めた時、目の前には信じられないような光景が広がっていた。
「どぉぉりゃぁぁぁっ!!」
かすみは今、コクピット後ろの補助席へとしっかりと座らせられていた。そして、前のメインコクピットには、見たことの無い男性が座っていて、そして、さらに驚くべきことには、ナイフ一丁でさっきまで必死になって逃げていた警備のPWと互角にやりあっていたのだ。
ちなみに、見たことの無い男性とは言うまでもないが猛である。
そうこうしているうちにも、じわじわとダメージを与えていた一体のPWの動力へとナイフを突き刺す。
とてもじゃないけど、ついていけないくらいにモニタの外の状態がめまぐるしく動いている。
「壊れろっ!!」
前のコクピットに座っている猛が叫びながら、ナイフを引き抜く。そして、そのまままた距離を大きくとった。
先ほどナイフを突き立てていたPWが両膝をついて、動かなくなる。
「よし。次っ!」
見れば、周りに同じように倒れているのが2体。そして、まだ取り囲むようにして見ているのが3体。
途中で2体ほど相手側に援軍が来たのだろうか。
かすみが周りを確認をしてる間にも、猛は次の目標を決めて、そこへ向かい突進を始めていた。
「う、うわっ、きゃぁ!」
突然の加速に視界と判断力が付いていかない。
ふと猛が後ろをちらりと向く。
「ん? 気がついたか?」
「ちょ、ちょっと、あんた、運転中!」
猛は「なぁに大丈夫」とか言いながら、また前を向いて相手のマシンガンをどんどんとかわしていく。
(な、なに、この人・・・めちゃめちゃ操縦が上手いじゃん・・・・・・)
そして狙いをつけたPWの懐まで一気に飛び込むと、相手に向かいナイフを突き立てる。
しかし、これは相手の装甲にはじかれてしまう。
「ちぃっ!」
そして、また距離をとる。多分、さっきまでもずっとその戦法だったのだろう。
「おい、お嬢様。このレーザーは使えないのかい?」
「・・・・・・は、はい!?」
ふいに猛が聞いてきた。
そう言えば・・・・・・
「あ、いや、それは扱いがむずかしくて・・・」
「ふぅん、ならナイフでやるっきゃないのか」
あきらめたようにまたモニタへと集中する。
そして、また相手のマシンガンをよけながら、狙いを定めて突撃していく。
(きゃぁ・・・す、すごい・・・・・・)
かすみは思わず見とれていた。他の何でもなく、猛の操縦する態度に。
「!!」
・・・と、ふと機体が大きく揺れる。いくつかのランプが付いたり消えたりしている。
「あっちゃ。くらっちまったか。破損部位は・・・足!?」
「えっ!?」
確かに、破損−足のランプが点灯している。
「これは・・・ちとまずいかな。逃げるかい?」
猛が聞いて来る。
かすみはそれに対して、しばらく悩んだ後、「ちょっと代わって!」と言って、強引に前のシートへと移った。
猛はそれにすなおに従った。この場でどうにかできるとしたら、このレーザーくらいだし、また、多分、このお嬢様はこのレーザーを使えると思ったからだ。
「少しだけ・・・手伝って貰えます?」
かすみが猛に向かって話し掛ける。
「何をすればいいんだい?」
「具体的に・・・このレバーを調節して、出力がつねに最大出力になるように操作してくれれば結構です」
猛は「あいよ」と答えて、後ろの席からやや乗り出して、レバーを操作しはじめた。
どんどんとパワーが溜まっていく。
かすみは相手の攻撃をなんとかよけながら、狙いを定めはじめた。
いくつものパネルを同時に操作する。
そして・・・
ビィィィィィィィィィィィィン!!
何色とも表現しがたい色のビームが発射されたかと思うと、前方にいた2体のPWは破壊されていた。
「んじゃま、あらためて。俺は大渡 猛。しがない生花店勤めの1青年だ」
「うそ」
昼間戦いがあったあたりから結構離れた森の中。先ほどまで乗っていたPW「KM−T」から降りてかすみと猛は火をおこして休憩していた。
「うそじゃねぇって。本当だってば」
「じゃあ、さっきの戦いぶりはなんなわけ?」
かすみがじと目で聞いて来る。それにちょっと押され気味の猛だが、あえてこの場は無視するに限ると思ったのだろう。何も言わずにただ黙々と携帯の食料を食べていた。
「・・・・・・ま、いいわ。じゃあ、次は私ね。私は・・・」
「三原 かすみ。三原重工社長の一人娘だろ」
・・・・・・・・・・・・
「やっぱり、あんた、ただの花屋さんじゃないってば!」
「それは構わないんじゃなかったのか?」
「う〜・・・」
恨めしそうに上目使いに猛を見るかすみ。
猛は何も気にしてないかのように携帯の食事を食べきると、ふと疑問に思っていた事を確認しようと思った。
「なぁ、それはそうとさ・・・」
「なに?」
「三原重工社長の一人娘さんがこんなところで何やってんだい?」
さりげなく、本当にさりげなくのつもりだった。
しかし、かすみはそれを聞くと、いきなり食べていた手を止めて、うつむき、黙りこくってしまった。
「ん? 聞いちゃいけない事だったか?」
「・・・・・・」
視線をじっと下にうつしたまま。
やや沈黙が続いた。
俺は・・・
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2.落ち着くまで、隣でじっと待ってる。(有効投票 5票)