It's came from Farland

〜水無月 第一週〜


mission1:そして嵐はやってくる(前)


 その日はとてもよく晴れていた。
 ここは関東北部のとある町。ちょうどMSと三原重工との勢力の境くらいに位置している町だ。
 そのせいか、この町の周辺ではその2つの企業の小競り合いもそれなりに起こっている地域だ。

 大渡 猛は、もともとはこの町の住民では無かった。しかし、数年前よりこの町で店を勝手に営業している。
 猛がこの町に来る前に、猛の店の元の持ち主は別のどこかへと引っ越してしまっていたらしく、猛はその空き家となっていた店を無断で使い営業をしているのだった。
 その店というのも・・・

 「大渡のお兄さぁん! かすみ草いれて1000円程度で花束作ってもらえません!?」
 「了解っす!」

 そう、花屋だ。
 何の因果か、と、言うなかれ。
 彼は自ら望んで花屋を営業しているのだ。
 「・・・っと。はい、こんなもんでどうでしょ」
 手慣れた手つきで花束を作る。ちなみに、普通、生花はかなり高い。まともな花束を作ろうと思ったら、2、3千は覚悟しておいたほうがいいだろう。しかし、猛は1000円でその「まともな花束」を作っていた。
 「あら、大渡さん。あいかわらずサービスいいわねぇ」
 「いやいや。原価を考えれば、これくらいしてもいいと思いますしね」
 猛は手にしてた花束を渡すとお金を受け取り、また花の手入れへと戻った。

 そりゃ、中には猛のような無骨な男が花屋をやることに疑問を持つ人もいるだろう。
 猛が花屋を始めた理由は色々とある。が、とりあえず今はそれは重要ではない。とにかく、猛は花屋を営業している。それだけは間違いようの無い事実だ。



 同時刻。
 町から少し北に離れた山の中腹にある森林地帯。
 『警告する! そこの所属不明機体! おとなしく縄につきなさい!!』
 一方的に無線が送られて来る。
 高機動型軍用PW『Idaten』のコクピットで三原かすみは注意深く周りを見回していた。
 270°モニタなので自分の背後以外は見渡せる。森の中ということで視野は狭いがそれは相手も同じ事だろう。
 (全部で3体か・・・。このマシンのスピードでもちょっと逃げるのはきついかな・・・)
 かすみが乗っている機体を囲んでいるのは、三原重工の地域警備隊の3体。全部が全部、軍用マシンだ。
 もう少し南下すれば三原重工の領域から抜け出せるだろう。家を出て来る時に確認した地図によれば、そこらへんに小さな町があるはずだ。
 (とりあえず、そこまで行ければ・・・。後はMSの方を適当に誤魔化して上手くぶつけられれば・・・)

 もう一度周りを見まわす。
 そして、一度大きく深呼吸すると、一気にPWの出力を上げて南へ向けて全力でダッシュした。



 ・・・の、ちょっと後。
 猛は自分の見た物が信じられなかった。
 PWが全力でブースターをふかしている音がしたかと思うと、町の北側から1体のPWがこの町に向かい、どんどん迫ってきたのだ。
 よく見れば三原重工のIdatenに見えたが、肩パーツの所に「Idaten」の文字は無く、代わりに『KM−T』と書いてある。
 「な、なんだなんだ!?」
 そのPWはどんどんと町の方へと迫ってきて、そのまま町中へと突入。しばらく大通りを滑るようにしてブレーキをかけてから、ちょうど猛の店の前でPWの爆走は止まった。
 そしてコクピットが開き、1人の女性がそこに立つ。
 「助けて下さい! 追われているんです!!」
 と、その女性・・・三原かすみはコクピットの中から唐突に叫んだ。町の中にPWが入ってきた事により、町の住民もにわかに集まってきている。
 猛は他の集まってきた住民を一度見てから、一歩前へと出た。
 「おい、お嬢ちゃん! この町には警備のPWはいねぇぜ。もちろん、個人所有のPWも軍事用のはゼロだ! 助けられそうな要因は何一つ無いぜ!」
 猛が怒鳴る。
 確かに、この町はどこの領地でもない。よって、どこの警備兵もいないというわけだ。
 「そんな・・・。じゃあMSの小隊がいる場所だけでも! この近くにはMSの小隊がいる基地が・・・きゃぁっ!!!」
 突然に町の北側からレーザーが飛んできて、Idaten・・・もとい、KM−Tを攻撃しはじめたようだ。
 「きゃぁぁぁ!!!」
 見れば、かすみがコクピットの上からバランスを崩して地面に落ちていた。
 「おい、お嬢ちゃん! 大丈夫か!?」
 猛が駆け寄る。
 周りで見ていた住民も何人か駆け寄って来る。
 見れば、目立った外傷は無いが気絶しているようだ。
 「・・・ったく。どうしてくれよう」
 『町の住民に告ぐ! 無駄な抵抗はするな! おとなしく、その所属不明機体をこちらへ引き渡せ!』
 まだ町の外にいる三原の警備隊のPWが大音量のスピーカーで警告してくる。
 猛はもちろんそのつもりだった。ここで下手に関わり合いにあうよりはその方がよっぽどいいだろう。
 「大渡さん・・・どうするつもりだい?」
 住民の一人が聞いて来る。
 「そりゃあ、素直に引き渡す方が・・・」
 そこまで言ってふと猛は自分の腕の中でまだ気絶している一人の少女を見る。
 
 ・・・

 ・・・・・・あれ?

 ・・・・・・・・・この子は確か。

 「いや、俺は今からこの町の住民じゃなくなります! 流れの旅をしている若者ってことにしてください!!」
 猛は一度周りを見回して、そう周りに言い放った。
 辺りからは「なんだって!?」といった風のセリフが聞こえて来る。
 「ちょいとこの少女に聞きたい事とかあるんでね。それじゃ皆さん、お世話になりました!!」
 「あ、ちょっと!!」
 住民の誰かが止めようとする。
 が、猛はかすみを担いだまま軽々とKM−Tのコクピットへと入り込む。
 「さぁて・・・いっちょやってみますか」



 とりあえず、いくら『KM−T』と名称を変えていても、Idatenには違いなかった。
 これなら昔に少しいじった事があるから大丈夫・・・だと猛は思っていた。
 
 そう、思っては、いた。

 実際乗ってみてわかったのだが、軍用のわりに付いていた武装が、使い方の半分分からない巨大なレーザー砲みたいなのが一門と、後は小さな振動ナイフが一丁。
 「これ・・・本当に軍用かよ・・・」
 思わず呆れてしまう。
 相手はいくら警備兵といえども、もっとマシな武器を積んでいるだろう。

 「さて、どうしますか・・・」
 まずは間合いを取りつつ、町から離れて・・・勝負はそれからだな。



 さて・・・


 1.とりあえず、遠距離用(と思われる)のレーザーを使ってみる(有効投票 1票)

 2.振動ナイフを使って接近戦!(有効投票 4票)