前回は中小企業の財務指標から中分類21業種の売上高総利益率を紹介しました。売上高総利益の確保が事業継続、発展の要諦であることを述べました。売上高総利益から人件費、販売費、一般管理費を賄い、投資した資本に見合う適切な利益を確保して将来を見据えた投資が行えます。
今回は平成19年度版[中小企業の財務指標」から売上高総利益率と人件費、人件費以外の経費、営業利益の割合について紹介します。
業 種 | 売上高総利益率(%) | 売上高総利益率を100とした時の割合 | 業 種 | 売上高総利益率(%) | 売上高総利益率を100とした時の割合 | ||||
人件費 | 人件費以外の経費 | 営業利益 | 人件費 | 人件費以外の経費 | 営業利益 | ||||
設備工事業 | 34.0 | 54 | 42 | 4 | 各種商品小売業 | 31.6 | 51 | 48 | 1 |
食料品製造業 | 33.6 | 45 | 52 | 3 | 織物衣服等小売業 | 41.9 | 47 | 53 | 0 |
家具装備品製造業 | 32.4 | 46 | 51 | 3 | 飲食料品小売業 | 32.6 | 51 | 51 | ▲1 |
出版印刷関連産業 | 44.4 | 49 | 48 | 3 | 家具什器等小売業 | 35.5 | 52 | 48 | 0 |
プラスチックス製品製造業 | 29.6 | 40 | 53 | 8 | 一般飲食店 | 64.5 | 53 | 46 | 0 |
金属製品製造業 | 34.4 | 46 | 46 | 8 | 旅館その他の宿泊所 | 79.3 | 38 | 60 | 2 |
一般機械器具製造業 | 32.3 | 44 | 44 | 12 | 自動車整備業 | 43.9 | 55 | 45 | 0 |
道路貨物運送業 | 38.0 | 43 | 55 | 3 | 広告業 | 44.1 | 54 | 43 | 3 |
織物・衣服等卸売業 | 27.7 | 49 | 46 | 4 | 情報サービス業 | 62.1 | 65 | 31 | 3 |
飲食料品卸売業 | 19.8 | 48 | 49 | 2 | 廃棄物処理業 | 64.7 | 41 | 55 | 3 |
建築材料等卸売業 | 20.3 | 50 | 43 | 6 |
※中小企業の財務指標(平成17年1月〜12月決算期)より作成 | |
※人件費に労務費は含まない |
上記の表は21業種の売上高総利益率と売上高総利益率を100%とした場合の人件費率、人件費以外の経費率、営業利益率の割合を表わしています。
製造業、物販業、サービス業それぞれに業種特性があり、また労務費との関連もあり一概に言えませんが、人件費率の割合が60%を越えているのは情報サービス業、50%台は自動車整備業、広告業、設備工事業、一般飲食店、家具什器小売業、各種商品小売業、飲食料品小売業、建築材料等卸売業です。残りの11業種は40%台、旅館その他宿泊所は38%となっています。人件費、人件費以外の経費を差引いた本業での儲けを示す営業利益率の割合は、10%台を確保しているのは一般機械器具製造業の1業種です。以下、金属製品製造業、プラスチック製品製造業、建築材料等卸売業が一桁後半の営業利益率を確保しています。一方、飲食料品小売業、自動車整備業は赤字であり、織物衣服等小売業、一般飲食店、家具什器小売業は営業利益率はゼロの状態です。以下の12業種は一桁前半の低い営業利益率となっています。
企業が継続企業として事業を継続していく為には適正利潤を確保する事が必要です。そのためには、売上高総利益の確保と人件費、人件費以外の経費の適切な管理から投資に見合う営業利益の確保が必要です。自社の事業の関連業種との比較を行い経営の参考にしてください。 以上
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