吉田コラム(第1回)
皆さん、はじめまして。ベンチャー支援センターのコーディネーターをさせていただいております、吉田と申します。今回、ホームページのリニューアルに伴い、コラムを書くことになりました。
私は週2日、渋川商工会議所の中の渋川地域ベンチャー支援センターに出勤しているわけですが、商工会議所に出勤する日以外にしている仕事のひとつに、ISO認証取得のコンサルティングというのがあります。いろいろな規模の、いろいろな業種の事業所にお伺いしてきましたが、その経験から得たもののうち、ISO認証取得に関係なく、すべての皆さんのお役に立てそうな話題を選んで書いていきたいと考えております。
さて第1回目は、「再発防止(是正処置)」です。
ISOの要求項目の中に、「是正処置」というのがあります。9000(品質)とか14000(環境)とか、いろいろな種類のISOがありますが、すべてのISOに共通してこの項目はあります。それくらい大事なところです。これはどういうことかというと、たとえば、不良品が発生したり、苦情を受けたりしたときに、まずは応急措置、火事で消防に連絡したりすることは当然として、そして、きっちり原因を追究して、確実に再発防止をやろう、ということです。目指すところは、徹底した再発防止、つまり、同じ失敗は繰り返さない、です。
実際のコンサルの場面で、「是正処置」の研修のとき、最初に事業所の方に必ず聞く質問です。
「今までどんな失敗がありましたか。失敗とは不良品や苦情などです。会社の仕事の上で失敗だったなあと皆さんが感じたことです。プライベートの失敗ではありません。どういうことがあったか、思い出しましょう。」
事業所によったら、苦情処理報告書みたいなものがあって、しっかり記録があるところもありますが、応急措置の有無とその結果で止まっている場合が多いです。本当の原因追求して、再発防止策を検討し、組織全体に徹底させるまでにはなかなかいきません。苦情を受けた方は一生懸命記録をとっているのですが、その先がまったく生かされていないことも多く、記録のための記録では組織全体で見ると無駄な作業となってしまっています。モグラ叩きみたいなもので、出てくるモグラを叩くのに忙しいだけで、モグラが出てくるのを減らすことになかなか手が回らないことになります。
どういう失敗があるのか、事業所で考えていくときに大切なことがあります。再発防止、つまり同じ過ちを繰り返さないこと、そして、失敗を披露してくれた人の責任の追及をしないこと。この目的のために失敗を披露してもらうことが重要になります。責任追及でなく、原因究明が大切と経営者の方に宣言してもらわないと、従業員は失敗を隠すことになります。失敗を繰り返さないために、失敗事例をたくさん挙げてもらって、みんなで共有し、組織全体で繰り返さないようにします。失敗を見ようとしなくなると、やがて、失敗が見えなくなってしまいます。そうしているうちに、失敗は成長し続けます。
労災発生の確率を表した、ハインリッヒの法則というのがよく知られています。1件の重大災害の裏には29件のかすり傷程度の軽い災害があり、さらにその裏には300件のケガに至っていないヒヤリとした体験が存在しているというものです。日頃から、ちょっとしたヒヤリ体験でも安易に見過ごさないで、きっちり原因追求して対応していくことにより、重大事故を防ぐことになります。
ちょっと見ると軽い失敗だけど、原因を追求していくと、結構重大な問題を含んでいることも多く、上司の方から見ると、何でもっと早く言ってくれなかったのか、と言いたくなるようなこともありますが、そういうことを言えない「空気」だったと反省が必要かもしれません。「空気が読めない」(KY)という批判を受けた方がいらっしゃいましたが、危険予知(KY)もまさにこういう意味で、「空気を読む管理」が必要だと思います。
失敗から学ぶ教訓は大きいものがあります。そうするためにも、組織の雰囲気づくりが大切です。是正処置というのも結局のところ、そうした組織の環境づくりが根本のところで重要と考えます。コンサルタントの役割もそうした組織の土壌づくりに尽きると言っても過言ではありません。
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