2007年03月14日
●本:『声で魅せてよベイビー』
著:木本雅彦 『声で魅せてよベイビー』 (ファミ通文庫)
「はー。……恋ってなんなのかしらね」
いい質問だ。俺も知らない。ただ回転する二人ってのが重要なのは知っている。(P111)
主人公は自称「ハッカー」の高校生。
ヒロインは自称「腐女子」の声優専門学校生。
彼らの妙なコダワリとおかしなやりとり。それを傍から見たコメディだ。
……って受け取っていいだろう。たぶん。
Webを見回してみたら、「この話をどう受け取るか」に戸惑っていたような印象の感想が割とあった。確かにコレ、異質だもんな。
ライトノベル的な類型に見えるようで、微妙にズレてる変な小説。
でもまあ、あんまり深く考えずにコメディだと思ってればいいと思う。
作品紹介などはどうも恋愛物語であることを強調しているけど、その手の印象は薄いように思えた。物語中で主人公が持ったのは、もっと単純な好意に見える。
ただ、主人公がはそれが恋愛につながるモノであり、むしろそうであればいい、そう育てばいい、そんな風に願っているってのが面白いところ。
「気持ち」と「立ち位置」のギャップの話なのかもしれない。
先にも述べたけど、これは異質な話だ。
従来「正解」ではない部分に、あえて答えを求めた話とでも言うのだろうか。
私は最近こんな異質な話の幾つかに出会ってきた。
表現やスタイルはまったく違うものの、それらが持つ異質さは似通っている。
例えば、『スラムオンライン』は、格闘ゲームという共通言語を、ストイックな孤独性と共に書いた話だった。『ジョン平と僕と』は、「周りと違う自分」を自覚した少年が、不器用ながらもそれを選び、過ごしていく話。
そして、『声で魅せてよベイビー』は、「ハッカー」という孤高の精神性を自らの生き様として誓い、しかし、その自ら決めた生き様に振り回される話なのである。
共通するのはどれも、自分が少数派であることを理解するところにある。
どれも、そういった生き方を「選択」した人の物語。
彼らの生き方や信念は、不器用で、滑稽で、褒められたものではない。
言ってしまえば、一部には確実に否定される類の信念も混じっている筈だ。
それでも、「物語」は、ひとつしかない正解を導くためのものじゃない。
彼らが得た結末は、そうだった、というだけの話だ。
だから、この話は、これでいい。そんな風に思う。
2007年02月18日
●本:『ジョン平と去っていった猫』
『ジョン平と去っていった猫』 著:大西化学 GA文庫
『ジョン平とぼくと』の続編。2巻。
主人公の北見重は、聡い少年ではあるが、それを外に、他人に表現するのが上手くない少年だ。
そして、無力で頼りない少年である。
彼には足りないものがいろいろとある。
彼は主人公ではあるが、ヒーローではない。決して。
そう、誰もがそんなものだ。
世界は彼にやさしくはしてくれない。厳しいほうがほとんどだ。
でも、世界はおおむね美しいのである。……たぶん、そんな話。
◆
面白いのは、これが重の「こころ」の物語なのにかかわらず、それがほとんど直接描写されない。という点なのかもしれない。
彼は魔法が存在する世界の住人ながら、それが苦手意識を持っている。そして、それゆえに「科学の徒」を自認しており、ひどく理屈が先走る少年である。
物語は一人称で書かれており、全ての出来事は重の視点から語られる。
しかし、その彼のこころの表現は決して直接的に表現はされない。
多くの見たものや、推測が、表現されているに過ぎない。
重の見たものが、ただ、淡々と。
でもわかる。いや、だからこそ、わかる。
ジュブナイル作品における少年や少女たちは、何がしかの「足りないもの」を持っている。 当たり前だ。彼らはまだ少年や少女であり、成長の余地がある子供たちなのだから。
色々なものに「結論を出していない」子供達なのである。私達が日々を過ごし、様々な経験で得た、結論。
彼らはまだその結論を見出していない。それは未熟であるということだけではなく、世界は未だに広がっている、ということなのだ。
同世代を生きる子供達は、それを自分に置き換えて考える。
そして、私たち大人は、それらを回顧し、今の時代の子供を見守る事が出来るのだ。
「しげる?」
ジョン平が、そう言って、ぼくを見上げた。かるく首をかしげて、片側の頬だけを少し上げてみせる。それは、わかった? とでも言いたげで、ただ、あのときとは異なり、僕を責めるふうは少しもなく、それでぼくは、幸いなことに、本当に幸いなことに、最低の人間にならないで済んだ。
(P280)
2006年10月15日
●本:『ジョン平と僕と』
著:大西科学 『ジョン平と僕と』 GA文庫
この本を書いた著者は、昔から「大西科学」というWebサイトを運営しており、そこで「雑文」と称した文章を発表してきた人だ。
私はかついてこの人のサイトの「雑文」をほぼ全部読んだことがある。そんな経験から大西科学の人の文章の特徴を説明するならば、私は「どこまで本当なのかわからない文章」と表現したい。
いや、ちゃんと書いてある。架空である。本当ではない。……事実ではないはずなのだが、これは、どこまでが本当なのだろうか?と思ってしまう。
「生活のひとコマ」といった風な文章の中には、あきらかにそれは事実ではないだろう。という部分はある。あるのだが、どこからが本当ではないのかは、よくわからない。「経験」から来たであろう言葉もある。でもそれも本当に経験したことなのかはよくわからない。冗談で言っているのではないか。
とにかく、一事が万事その調子なのである。そういう文章を書く人だった。
そして、数年を経て、書店で「大西科学」という名前を見つけた。驚いた。
買った。読んだ。……変わってなかった。
『ジョン平と僕と』はフィクションである。
現実にはあり得ない「オハナシ」だ。間違いない。それは保障できる。現代を舞台にした物語ではあるが、現実にはしゃべる犬などいないし、魔法など存在しないのだから。
この物語の主人公は、どんくさい理系の少年だ。歳相応に聡いところはあるものの、それを表に、他人に伝える事が苦手な少年。ちょっと他人に認められようと頑張っても、上手くいかず失敗して恥をかいてしまうような少年なのである。
そんな少年を主人公にした物語にした、本当なのかどうかわからない話だ。いや、フィクションなんだけど。
私は、多分こんな少年だった。かつてそうだった、現在の大人だ。もっとも、どんくさいのは今も変わらないし、他人への表現も得意になったわけではない。少年のころよりも、少しだけ迷わなくなった。それだけだ。
そんな私が読んだのだから、ずいぶんと共感は持った。かつての自分を顧みて、私がこれを楽しむ事はできた。
しかしまあ、これはいわゆるライトノベルのレーベルで出た本である。最近は多少事情は変わっているものの、私みたいな大人は、本来の読者ではない。
では、「現在そうである、そんな少年」が読むべき物語なんだろうか?……読んで欲しい気はする。
このオハナシは、自分と世界とに「ズレ」を感じている少年にとって、簡単な希望にはならないだろう。
それでも、読んで欲しいとは思う。
何らかの、選択の機会は得られると思うから。
ぼくは動揺していたのだろうか。そうではなかったと信じたい。いや、動揺していたとしたらそれでいいから、他人にはそれを悟られていないと思いたい。ああいや、それもいい。他の誰に悟られたとしても、鈴音にだけはそれとわからなければ。駄目だろうか。これさえも高望みというものか。(p232)
2006年01月31日
●旅団本 コミュ編。
「ファイナルファンタジーXI 電撃の旅団編 Vol.3 コミュニケーション編」
を見つけたので購入。実はずっと探してました。
感想:「ああ、コレ俺好みだ」
今回は攻略本としての範疇を完全に外れた企画本。
「FF11ファンブック」って言った方がいいかも。いわゆるおばか企画満載。
竜獣召で色々挑戦する「三匹(と3人)が斬る!」とか団長の「一人遊び講座」とか、まじめなところでは、裏LS主催者へのインタビュー、NAプレイヤーへのインタビュー企画。面白いところでは夫婦でのヴァナ生活の話題なども。
Q&A企画もある意味新機軸。
コミュニケーションに関わる質問なのですが、同じ質問に対する回答を、あえて旅団員複数人が回答。そのそれぞれの回答は、互いに食い違ってるモノすらあります。
そう、答えは一つじゃなくていいのです。素晴らしい。
今回は書き下ろし4コマもありますが、本にあわせてコミュニケーションの話題が中心。
奇麗事として処理されやすい話題も「現実的な回答」を用意してます。
ただ問題はなあ。DVD二枚付いてくるのもあるんだろうけど、価格が2205円。
これ、初心者ガイドも内容にあるんだけど、それで2205円はちょっとなあ。
ちょっとその辺は、本としての性質を見ると、ちぐはぐな感じがありました。
付属のDVDはまだ見てませんが、こっちもアホ企画満載っぽいので楽しみです。
2005年12月07日
●本:『.hack// AI buster2』
今回の本は、その形態上、極めて対象読者の少ない本だと言えます。
私は本来対象読者じゃなくて、無理やり読んだ形になるんだけど、それでも「面白かった」と言える本でした。
だから、感想を書いてみます。
浜崎 達也 『.hack// AI buster2』(角川スニーカー文庫,¥560)
Amazon
.hackシリーズは、MMORPGを舞台にした物語です。
明確な原作が無く、ゲーム,アニメ,小説,漫画など様々なメディアで発表されていますが、それぞれが違う部分のストーリーを描いています。
この本は、各メディアの部分部分を切り出し、外伝といった形で語った短編集になります。
私は正直、.hackシリーズにはあまり興味が無く、ウェイトの大きいゲーム、アニメについてはまったく触れていません。あしからず。
◆
この本を読んで、ぼんやりと考えたのは、作者はたぶんMMORPGの経験者で、しかも「幸せなプレイヤー」だったんだろうな、ということでした。
MMORPGの良さ、面白さを別メディアで書くのは、多分簡単です。
世に似たような感想がありふれているように、MMORPGの善性としての面白さは、いわゆる「ヒューマニズム」に根ざす部分です。悪く言えば「ありがち」で、メディアに落とし込みやすい要素なのです。
……が。それだけに、そこで止まってしまいがちでもあります。押さえるべき部分を押さえてはいる、でも、そこで終わっている。そういうモノがどうしても多くなります。
こちらの本は、「そこで終わっていない」点を多数感じました。
少し箇条にしてみます。
・ネットゲームにおけるそっけなさと割り切り。
・奇妙な程の連帯感。
・酷い悪意。
・傍目には不自然なほどの善意。そして、善意の理由。
多少の脚色は当然あるわけですが、ネットゲーム特有の「微妙な距離感」が良く書けている小説でした。そこには「触れた人にしかわからないモノ」が存在していたと思います。
ネットゲームの世界は、善意側にも悪意側にも「歪んで」います。
が、歪んでいることは悪いことかと言えば、そうじゃない。
そこに意味を見出せる人がいれば、それはプラスなのです。そんな風に、思わせてくれる作品でした。
2005年10月13日
●メモ。買うべき本。
私は基本的にネット書店は利用しない人なんだけど、どうにも最近「入手できない本」が増えてきて、ネット書店をがしがし使うべきなのではないか、と思うようになった。送料の関係で、まとめて使ったほうが都合がいいのである。
それでも、私は本という媒体そのものも愛しているフシがあるので、やっぱり本は見て買いたいような気もしている。わがままですね。わがままです。
ま、とりあえず、次の休日には本を求めて書店行脚の予定。
『少女には向かない職業』
著:桜庭 一樹 東京創元社
この人の「話題作」は正直あまり好きではなくて、買ったもののあまり読んでないものが多い。たぶんこれは自分のメンタリティのせいで、作品に責任は無い。たぶん。
でも、最近の地に足がついてきた感じの作品は気に入ってたりします。「荒野の恋」は素直に面白かったし。
こちらは東京創元社刊ということで、そこらへんを期待しつつ。
『トランスルーセント 2巻―彼女は半透明 (2)』
著:岡本 一広 メディアファクトリー
まんが。2巻が売ってなくて大変困っています。
人が透明になる奇病を軸に据えた、シチュエーションSFとでも言うような作品。
あ、舞台は普通の高校です。なんのへんてつもない普通の学生生活。
主人公の男子はアホかわいい。ヒロインは半透明。お話はリリカル。
『ロマンシングサガ-ミンストレルソング-皇帝の華』
著:妹尾ゆふ子 スクウェア・エニックス
ゲームノベライズ…かというとそうでもなくて、ゲーム内世界の地方伝承を小説化したもの。ゲームに関係はあるけど、ゲーム自体を小説化したものではありません。
妹尾ゆふ子氏、3年ぶりの新刊とのこと。そっかー。そうなんだなあ。
読者の評価は高い著者ですが、いかんせんニッチなジャンルの物書き(本格ファンタジー。日本はこのジャンルの書き手は極めて少ない)なので、営業的には色々厳しいようです。著者は主婦の方なのですが「金銭的にはパートのおばさんと大差ない」と述べていたのが印象的でした。
こちらに著者自身による紹介ページがありますが、「必要とする人のところへ、この本が届いてくれれば」というのは、本当に切実な願いなんだろうと思います。
2005年08月09日
●本: 光原 百合 『最後の願い』
光原 百合 『最後の願い』 (光文社,1890円) Amazon
「最後、ちょっとかっこつけすぎ」
「役者なもんで」
(P36)
立ち上げ準備に奔走する劇団φ(ファイ)を巡る、7つの物語。連作短編です。
ジャンルとしてはミステリ。ただし、犯罪事件や殺人は起こらず、日常の中の不思議や、人の心理に隠された真相を解いていく、というミステリです。
最近はこのタイプの作品が若干ながら増えてきて、「日常の謎ミステリ」という括られ方をすることもあります。
さて、物語の主役となる人物は、それぞれの短編で違います。ただ、軸になっているのは、渡会と風見という二人の舞台役者。彼らがミステリにおける「探偵役」を演じることになります。
いやいや、舞台役者だけに「演じる」に引っ掛けた、というわけでもありません。
この作品は背景などの説明が少なく、本の体裁としては、ほとんどの部分が一人称で書かれています。
これは舞台演劇というテーマがあり、「人を演じる」ということから「人を書く」事に注力しているのでしょう。また、ある種「演技過剰」になっている、とも感じられると思います。
ま、そのせいか比較的読み口が軽く、Webの感想などを見ると、どうも作品としても軽く見られがちな感があるようでした。
……が、これはある種の構造的な狙いなんじゃないかなあ。という気はしました。
ミステリはその性質上「著者と読者の関係」が作中に意図される作品が多いのですが、この本では、従来のミステリとは違うところでその「関係」を書いてきたわけです。
これは、舞台演劇をテーマとし、読者という見る側の視線,視点が、強く意識された小説なんだろうなー、と。
「いいものを読んだ」ではなく、「楽しかった」という感想の似合う本だと思いました。
ええ、私も「楽しかった」ですよ、そりゃもう。
2005年07月07日
●本:桜坂洋 『スラムオンライン』
私が本の感想を書くのは、一つは紹介のためで、もう一つは自分の文章訓練のためだったりする。私は目的無しにだらだらと文章を記述するのが好きな人間なのである。だから、私のPCには公開されていない、するつもりもないテキストが大量に眠っている。
……が、最近ちょっと面白い(内容が、ではなく感想対象として)本を読んだので公開してみる。
桜坂洋 『スラムオンライン』 (ハヤカワ文庫JA,¥630) Amazon
「闘争の場なんだよ、社長。その現代版。大人も子供もない。階級もない。そういうの、社長もむかしはやったクチだろ」
「ゲームの中で闘争なのかね?」
「社会の革命だって内ゲバだって、フタを開けてみたら結果はリアルじゃなくてバーチャルだったろ。共通言語ってのは自分たちで見つけることに意味があんの」
(P155)
理解されない物語だな、と思う。
同時に、理解してしまった人は、理解されたくないな、と思うのだろうとも思った。
主人公の大学生、坂上悦郎は、『バーサス・タウン』と呼ばれるMMO対戦格闘ゲームのプレイヤーだ。一言で説明するなら、よーするに「MMOバーチャファイター」である。
主人公は、ゲーム内ではカラテ使いの「テツオ」になり、強さを求めている。
それはストイックであり、しかし、それは傍目には滑稽な行為でしかない。
そして、主人公は、それが他人には滑稽に映ることにも気付いている。
彼は「正しいであろうこと」を知っている。でも、彼はそれを選ばない。
彼は、自分が見つけたものを信じている。
盲目的なわけではない。彼は周りが見えている。
でも、彼が選んだのは、「自分が見つけたもの」なのだ。
……ひどく歪んでいて、青臭い話ではある。
この本を読んだ後、書名でネット検索し、この本が酷評されていたのを見つけた。
それは、ある意味予想どおりの批判だった。
その低評価を見て、「喜んでいる自分」が居るのが面白かった。
そうだ。それでいい。わかる奴にしか、わからない。
そのほうがいいのだ、こういうモノは。
……そんなことを考えてしまう事自体が、一番面白い。
この本を人に薦めるのは難しい。ひどく異質で、理解されない物語だから。
だからこそ、その異質さの存在が喜ばしい。
こんなものが出版される、混沌とした世に幸あれ。
2005年02月08日
●つまらない訳じゃないんだけど、さ。
「新風舎文庫大賞」受賞作で、しかも表紙は夕焼けで校舎で三つ編みの女生徒で、久美沙織が絶賛と来れば、なんぞ良質のジュブナイルか? 青春小説か? と思って勝手に期待して読んだら違った。 血も涙も夢も希望もねえ暗黒小説だった。 真っ黒だ。 なにも見えねえ。 角川ホラー文庫ででてくれ、こういうのは。 覚悟のないところ思い切り殴られた。
まったく同じ理由で買ったよ!
ばーかばーか (俺が)
ちくしょう俺にジュブナイルを青春小説を読ませろ。
ジュブナイルとか青春小説って、そもそも流行りじゃないから「当たり」を引くの難しいんだヨ!
2004年12月20日
●購入予定メモ。
メモ。
最近大きな書店に行かないので、どうも取りこぼしが多い。
すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた ハヤカワ文庫 FT
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア (著), 浅倉 久志 (翻訳)
ティプトリーのファンタシィ短編集。SF畑の人だと思ってましたが、ファンタジーも書くんだな。
いやまあ、向こうの作家にはそういう人多いんですけど。
同著者作品では『たったひとつの冴えたやりかた』が有名ですね。
しかし、
あわせて買いたい
『たったひとつの冴えたやりかた』と『冷たい方程式』、どちらもおすすめ!
商売上手すぎるぜAmazonさん…。
シャドウ・パペッツ ハヤカワ文庫SF
オースン・スコット カード (著), Orson Scott Card (原著), 田中 一江 (翻訳)
エンダーのゲーム姉妹編エンダーズシャドウ、シャドウオブヘゲモンに続く続編。
エンダーというひとりの天才少年によって終結した、異星人バガーとの戦い。
その歪んだ戦争は、多くの「戦争の天才であるこどもたち」を生み出した。
バガー戦役後、急速に分裂し始める国際関係。各国家は彼ら「戦争の天才」に魔の手を伸ばす…。
著者のカードは個人的に好きな作家の一人。
カードは宗教にはまっちゃってアレ。って話はよく言われるんだけど、作品中で宗教の話を出すときも、決して視野狭窄にならず、マクロな視点を持ち続けているのがよくわかる。
また、宗教みたいな信じるものがある人間と、そうでない人間がどう付き合えばいいか、というモノにも答えを出している。
そんな毛嫌いするほどでもないと思うんだけどなあ。
2004年10月19日
●本: 食卓にビールを
「実はわたくし、某ビジネスニュースを愛視聴しているのです」
「なんでビジネスニュースなんか見てるの。受験対策?」
「ううん、ビールの新製品が出るとすぐ紹介してくれるから」
(P37)
Amazon.co.jp: 本: 食卓にビールを 小林めぐみ(著)
そうそう、ちょうどこういう話が読みたかった。
一言で言うと「へんてこ不条理SF」とか、かな。
主人公は、「女子高生で主婦で作家」とかいう設定があるんですが全然活かされてません。
キャッチー(?)なものを並べたかっただけではないのか。と疑っております。
内容を軽く説明すると、
「よくわからない言動と行動を好む(好んでるだけ。たぶん趣味)主人公が、
よくわからない状況に巻き込まれて喜ぶ話」
とでも言えばいいのか。いいのかなあ。面白そうに聞こえるだろうか。
あと、イラストはフェイクです。全然内容に合ってません。
紹介終わり。ここから感想。
私とはなんだか波長があったみたいで、細かい描写にけらけら笑いながら読んだのですが、
たぶん一番楽しんでるのは作者だろうなあ、などと思ったりしながら読んでました。
……で、そういえば作者はホームページを持っていたなあ。と思い出し、
検索で発見、同サイトをしばし眺めると、やっぱり「自分の作品を面白がってる」様子が見られて納得。自分の推測が正しいと確信するのは楽しいことです。一粒で二度おいしい。
他人の好みを無視してオススメしたい本ですね。
自分の好みの説明する代役になるような、そんな本かもしれません。
2004年08月13日
●「トラウマ児童文学」 ニュースな本棚
「トラウマ児童文学」 ニュースな本棚|Excite エキサイト : ブックス
目の付け所が素晴らし過ぎます。
特にムーミンですよムーミントロールですよ。
終末モノて。そんなシロモノだったとは。
2004年08月10日
●読みたい本メモ
読みたい本メモ。自分用。
メモしとかないとタイトル忘れて買い忘れたりするんだよなあ。
あの一夜に起きた出来事は、紛れもない奇蹟だった、とあたしは思う。
夜を徹して八十キロを歩き通す、高校生活最後の一大イベント「歩行祭」。
三年間わだかまっていた想いを清算すべく、あたしは一つの賭けを胸に秘め、当日を迎えた。去来する思い出、予期せぬ闖入者、積み重なる疲労。
気ばかり焦り、何もできないままゴールは迫る――。ノスタルジーの魔術師が贈る、永遠普遍の青春小説。
歩行祭というのは、80キロを休憩を挟みながら、ただ「歩くだけ」のイベントらしい。
(しかも実在する(した?)らしい)
それを物語にするという発想が恐ろしく、それ故に惹かれるものがあります。
この紹介文で購入決定。ここまでストレートに紹介文に「やられた」のは久しぶりだ。
個人的に読み損ねていた、加納 朋子の新作。
加納朋子は、基本的に普通に評価も高いし、賞賛されてるんだけど、
妙にセンスに合う合わないみたいな部分が同時にあるみたいで、
そういう部分で若干評価が分かれがちでもあるかなあ。という作家さん(私的印象)
いや、もちろん私は好きなんですが。
読み手の思考の流れを言い当てられてるような、それでいて少しだけ裏切るような。
エキセントリックではなく、しかし常に少しだけ上を行く。
期待と意外のバランスがとてもいいのです。
二作目の『魔法飛行』を読んだ時はやられっぱなしでした。
最近本屋に行ってなかったせいで買い損ねてました。見つかるかなあ。
感想は気が向いたら書きたいと思います。
2004年08月03日
●たまには小説関連の話。
作家、妹尾ゆふ子氏のサイト『うさぎ屋本舗』がリニューアルしていました。
日本人作家では極めて珍しい、累計的ライトファンタジーにも、児童文学ファンタジーにも属さないファンタジー小説を書いておられる方です。
……いやまあ、そのへんを狙って書いてるかどうかは知りませんが。
ともかく、個人的にはお気に入りの作家さん。
サイトのリニューアルに合わせて、幾つかの掌編小説を公開されているようです。
カテゴリ、「断片」から閲覧できます。
個人的には、『巨人の心臓』が好みでした。
この方、Webなどの評価は高いのですが、商業的にはなかなか辛い立場に居る作家さんのようで。
いやもう、似たような人はたくさん居るんですけど、なんとか頑張って欲しいなあと思います。
谷山由紀氏とか、商業作品もう出さない(…出せない?)のかなあ…。
2004年04月03日
●アン・マキャフリィ 『ペガサスに乗る』
某所で本やゲームの感想を書いていたのですが、こちらでも感想…というかメモを残す事にしました。本を読んで思った事を綴っておくのは楽しいことなのです。
Movable Typeの利便性は偉大であるなあ。
アン・マキャフリィ 『ペガサスに乗る』
早川書房 ; ISBN: 4150110913 ; (1995/01) 【amazon】
タイトルで勘違いするかもしれませんが、ファンタシィじゃなくてSFモノ。
現代からちょっとだけ未来の世界で、それまでインチキ扱いされていた超能力者達が仲間を集め、市民権を得ていく話。
超能力バリバリバリーとかの派手な話は全然なくて、自分達の力を「社会」に利用し、政治的な面から自分達を認めさせるという展開。
まあ、その辺を「味付け」に使った人間ドラマです。
蔵書を整理してたら発掘したので再読。前読んだの学生の時だったなあ。
……あーやっぱり面白いわコレ。変に小難しくなくてすらすら読めるところがいい。
小理屈付けて読むんじゃなくてぶわーっと読んじゃうと楽しいと思う。
ライトノベルとか読む人にも勧めていいんじゃないかな。
ところで、近年のマキャフリィ作品はどうにも「ご都合主義」的な展開が多いとの話が多いようです。
私もそれが気になっていて、読んでいて違和感も感じていました。
……が、誰かのサイトで「マキャおばさん」という著者の愛称?を聞いたとたん、何やら一瞬で「納得」してしまいました。
その呼称を聞いてから「ご都合主義でもいいやー」と。それはそれで許せるようになったのです。
コレ、理屈の通らない話かもしれませんが、そんなものじゃないかな、とも思うのです。
読み手のスタンスは、本の面白さに影響を与えるし、
スタンスを変えるのは難しい事じゃなくて、ちょっとしたきっかけさえあれば簡単なんじゃないかな。
どうせ読むんだったら、本は面白いほうがいいでしょう?
私が本の感想を書くのは、
自分の感想が、そんな「きっかけ」になればいいな、と思ってるからなのかもしれません。